『オーシャンズ8』初登場5位 「00年代以降の洋画」を象徴する『オーシャンズ』シリーズ

『オーシャンズ』シリーズにみる洋画の変遷

 上田慎一郎監督のインディーズ作品『カメラを止めるな!』の驚異的なサプライズ・ヒットが各メディアを賑わせているこの夏、ランキング上位作品の顔ぶれとその優劣もほぼ確定してきた。先週末の動員ランキングでは、『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』、『インクレディブル・ファミリー』のトップ3が前週から不動。4位には前週6位までランキングを下げていた『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が再浮上。カレンダー上はウィークデイとなるお盆休みに入ってからは、『インクレディブル・ファミリー』と『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が直近の週末以上の好成績を上げていて、ファミリー層に強い作品ならではの粘りを見せている。

 先週末の時点で興収65億円超えの『ジュラシック・ワールド/炎の王国』、興収52億円超えの『コード・ブルー』に加えて、同じく興収50億円超えが十分に狙えるハイペースで数字を積み上げている『インクレディブル・ファミリー』と『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』。少なくともこの夏は大ヒット作と呼べる作品がここまで4本出ているわけだが、その4強に続いて先週末5位に初登場したのが『オーシャンズ8』だ。

 『オーシャンズ8』の土日2日間の成績は動員17万8000人、興収2億4500万円。通常の週ならばトップ3からこぼれるようなことはない数字だが、夏休みシーズンのピークでの公開なのでこの順位も致し方ないところ。『オーシャンズ』シリーズ初の女性窃盗集団が活躍する今作には、サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、リアーナをはじめとする女性スターが大集合。テレビのCMでは『プラダを着た悪魔』のヒットなど日本でも知名度が高いアン・ハサウェイを前面に押し出すなど(厳密に言うと、アン・ハサウェイ演じるセレブ女優は本来窃盗集団のメンバーではないのだが)、女性の大人客にアピールしていた。

 通常、ファミリー向けの作品や学校が休みのティーン向け作品がしのぎを削る夏休みシーズンは、女性の大人客向けの作品が手薄い時期。日本公開時期の戦略の立て方としては間違いではなかったのだろうが、一つ誤算があったとしたら、『コード・ブルー』が事前の予想以上の大ヒットを飛ばしていて、しかもその客層の中心が20代、30代の女性客であることだろう。「『コード・ブルー』と『オーシャンズ8』では同じ女性客でもそもそも客層がまったく違うでしょ」と思う人もいるかもしれないが、浮動層をいかに取り込むかが最も重要な映画興行において、今回の『コード・ブルー』のような年間1位を狙えるレベルの作品が同時期に公開されているとなると、その影響は少なくない。

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