石井杏奈が山本舞香の心を動かす 『チア☆ダン』Rocketsが乗り越えた2つの壁

『チア☆ダン』Rocketsが乗り越えた壁

 そして今回もまた、部から離脱しかけていた茉希の心を動かしたのは汐里だった。「本当言うと私も人の真似とか大っ嫌い」と茉希の心情に寄り添いながら、気になっていた事件の真相について聞き出す。「私たちも裏切ると思う? いいよ、茉希は茉希のペースで。無理して輪に入ってこなくてもいい」と尊重しながら茉希の必要性と、Rocketsの仲間であることを説く。しっかりとした筋立てで語りかけた後に、サクッとその場から立ち去るのもまた、汐里の説得術の巧さを感じる。

 一方で、前述のシーンと同じようにベンチで横並びになって過去の出来事を話すというやり取りが、本エピソードの中でもうひとつ登場した。こちらはチアリーダー部から追い出されてしまった1年生の芙美(伊原六花)と、わかば(土屋太鳳)のやり取りだ。落ち込んだ表情で涙を流している芙美に「何聴いてるの?」と別の話題で話を持ちかけながら、色んなことを聞きだそうとしてしまうわかばに、芙美は立ち去ってしまうのだ。この2つのシーンを比較するとどことなく、汐里とわかばの性格の違いがはっきりと見受けられるだろう。

 とはいえ、わかばは別の形で芙美の心を動かす。彼女の父親との思い出の曲であるTHE BLUE HEARTSの「人にやさしく」を商店街の祭で踊ることを決め、茉希も戻ったRocketsのメンバー8人で、息の合ったチアダンスを披露する。劇中でこの曲の練習の過程がスパッとカットされているのは、彼女たちの心がひとつになったということを表すためであろう。そして、芙美だけでなく活気のなくなっていた商店街も元気付けたRocketsは、観客からアンコールを求められたことで、逆に元気と自信をもらうことができたのだ。こういった相互に応援し励まし合う関係が生まれるのも、チアスピリットの魅力なのかもしれない。

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■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『チア☆ダン』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜放送
出演:土屋太鳳、石井杏奈、佐久間由衣、山本舞香、朝比奈彩、大友花恋、箭内夢菜、志田彩良、オダギリジョー、佐生雪、溝口恵、福地桃子、堀田真由、伊原六花、足立佳奈、石崎なつみ、坂ノ上茜、守屋ことり、八木莉可子、阿川佐和子、木下ほうか、高橋和也、紺野まひる、松本若菜、本多力、森矢カンナ、木原勝利、広瀬すず、新木優子
原作:映画『チア☆ダン』製作委員会
脚本:後藤法子、徳尾浩司
プロデューサー:韓哲
協力プロデューサー:高山暢比古
演出:福田亮介、金子文紀
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/cheerdan_tbs/

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