大ヒットスタート『コード・ブルー』が示した、テレビドラマを映画化する際のロールモデル

『コード・ブルー』が示した映画化の方法論

 『コード・ブルー』の最初のテレビシリーズの放送が開始されたのは2008年7月。今回の映画化まで、10年間の年月と、3つのシーズンと、2つのスペシャルドラマを積み重ねて、フジテレビが自社製作の人気コンテンツとして大切に育ててきた経緯がある。その間にはプライムタイムのテレビドラマ界全体の恒常的な視聴率低下(『コード・ブルー』も例外ではなく、昨年放送されたシーズン3の平均視聴率は過去最低だった)、新垣結衣の大ブレイクなど、作品を取り巻く環境も変わってきた。それでも、人気キャストをつなぎとめて、シリーズの吸引力をキープし続けたことが、今回の大きな成果につながったわけだ。

 今後またテレビドラマ映画化作品がブーム的な復活をすることはないと思うが、ドラマの放送前から映画化を既定路線として企画を立てたり、目先の視聴率に惑わされることなく(とはいえ、視聴率があまりにも低い作品の映画化が無理筋であることは数々の作品で証明されているが)、数年単位でじっくりと腰を据えて映画化までの道筋を丁寧に整地していけば、テレビドラマの映画化も今なお有効な方法論であることを『コード・ブルー』は示してみせた。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「文春オンライン」「Yahoo!」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。Twitter

■公開情報
『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』
全国東宝系にて公開中
出演:山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、成田凌、新木優子、馬場ふみか、新田真剣佑、かたせ梨乃、山谷花純、丸山智己、杉本哲太、安藤政信、椎名桔平
監督:西浦正記
脚本:安達奈緒子
音楽:佐藤直紀
プロデュース:増本淳
主題歌:Mr.Children「HANABI」(TOY'S FACTORY)
配給:東宝
(c)2018「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会
公式サイト:http://www.codeblue-movie.com/

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