山田孝之は“目と口元”だけでキャラクターを表現する 『dele』圭司役で見せる新たな一面

山田孝之、『dele』で見せる新たな一面

 バディを組むことになった祐太郎を見る圭司の目も特徴的だ。祐太郎は圭司とは正反対のキャラクターで、人の懐にすっと入り込む社交性のある青年だ。そんな祐太郎をジロリと睨むように見る圭司。ほんの一瞬、話しかけてきた祐太郎を追い返すようにして睨みつけたその目は、圭司に足りない社交性を巧みに表現している。

 山田が圭司のキャラクター像を演技で伝えるのに使うのは「目」だけではない。口元にも注目だ。クライアントの死亡確認をするため、故人の情報を基に自分を金貸しだと偽って電話をかける祐太郎の姿を見たとき、圭司の口元が僅かに笑みを浮かべる。笑みを浮かべるとはいえ、好意的な笑みではない。「こいつは使える」といった笑みが、圭司の偏屈さを際立たせる。

 山田は、目を、口をと意識して演技している訳では決してない。圭司を演じるうえで、彼の癖をごく自然に体現しているだけなのだ。早口でボソボソと抑揚なく話す圭司について、コメントで「圭司として言葉を発したとき、『やっぱり、この人はゆっくりしゃべる人じゃない。抑揚無く早口でしゃべらなきゃ、らしくないな』と」と話す山田。「演じる側としては大変ですけど、そこがまた面白いところでもありますね」と答える山田からは、“坂上圭司“ならどのように話すか、どのように動くかを考えている様子が伺える。目線を合わせることなく、どんな人に対しても言い捨てるように話す圭司。故人の隠された真相に躍起になる祐太郎に対して「いちいちうるせえな」と呟く圭司からは、「この人と関わりたくないな」と思わせてしまうヒヤリとした空気を感じた。それでも「人をほんの少し優しくする」男・祐太郎との出会いが、圭司の心を大きく変えていくのだろう。

 第1話最後、故人の本当に隠したかったであろうデータについて祐太郎に伝えないと決めた圭司。舞からの「なぜ?」という問いかけに、相も変わらずぶっきらぼうな物言いで「そんなもん見せたら、あいつ本気で泣きそうな気しない?」と答える圭司からは、すでに祐太郎と出会ったことに対する変化が感じられる。冷静沈着だが、偏屈な圭司の心が、どのように紐解かれていくのか、次回以降も楽しみだ。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
金曜ナイトドラマ『dele(ディーリー)』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15~深夜0:15放送(※一部地域を除く)
出演:山田孝之、菅田将暉、麻生久美子
原案・パイロット脚本:本多孝好
脚本:本多孝好、金城一紀、瀧本智行、青島武、渡辺雄介、徳永富彦
音楽: 岩崎太整、DJ MITSU THE BEATS
ゼネラルプロデューサー:黒田徹也(テレビ朝日)
プロデューサー:山田兼司(テレビ朝日)、太田雅晴(5年D組)
監督:常廣丈太(テレビ朝日)、瀧本智行
撮影:今村圭佑、榊原直記
制作協力:5年D組
制作著作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日
公式サイト:http://dele.life/

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