大爆発スタート『ジュラシック・ワールド/炎の王国』 興収100億&年間ナンバー1の可能性も?

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』大爆発

 サマーシーズンのライバル作品として筆頭に挙げられるのは、日本映画では細田守監督作品『未来のミライ』、外国映画ではクリストファー・マッカリー監督作品『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』の2作品。興味深いことに、『ジュラシック・ワールド』が公開された3年前のサマーシーズンにも(公開タイミングは前後するものの)、細田守監督の前作『バケモノの子』と『ミッション:インポッシブル』シリーズの前作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』が公開されていた。『バケモノの子』の最終興収は58.5億円、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』の最終興収は51.4億円。『未来のミライ』と『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』、両作品とも試写で実際に作品を観た上で予想をさせてもらうなら、今夏の作品でどんなに化けたとしてもそれぞれ前作から倍増近くの興収となる100億円を突破することはないだろう。特にシリーズ最高作という前評判も高い『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』には大きな期待が寄せられているが、3年前の夏も、子連れ客も多い『ジュラシック・ワールド』シリーズとは微妙に客層が異なっていて、互いの作品を食い合わないことが証明されている。

 というわけで、「『ジュラシック・ワールド/炎の王国』年間ナンバーワンに死角なし」と結論づけたいところだが、一つだけあまり耳当たりの良くない指摘もしておこう。今回の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』、日本以外の主要各国では6月末に公開されているのだが、今のところ世界的には前作『ジュラシック・ワールド』を下回る成績となっている。特にアメリカ国内では批評的にも賛否が割れている状態で、前作のような一大ムーブメントには至っていない。もっとも、日本での『ジュラシック・ワールド/炎の王国』のスタートダッシュには、そんなネガティブな要素を吹き飛ばすほどのインパクトがある。この先、日本での数字が世界興収にのっかっていくことで、世界歴代興収5位の前作にどれだけ近づくことができるか? アメリカのユニバーサル・ピクチャーズも、今作の日本での爆発的ヒットに大いに注目しているに違いない。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「文春オンライン」「Yahoo!」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。Twitter

■公開情報
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』
全国公開中
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、コリン・トレボロウ
製作:フランク・マーシャル、パトリック・クローリー、ベレン・アティエンサ
キャラクター原案:マイケル・クライトン
脚本:デレク・コノリー、コリン・トレボロウ
監督:J・A・バヨナ
キャスト:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、B・D・ウォン、ジェームズ・クロムウェル、テッド・レヴィン、ジャスティス・スミス、ジェラルディン・チャップリン、ダニエラ・ピネダ、トビー・ジョーンズ、レイフ・スポール、ジェフ・ゴールドブラム
(c)Universal Pictures
公式サイト:http://www.jurassicworld.jp/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「興行成績一刀両断」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる