綾瀬はるかの一気コールをどう捉えるか 『義母と娘のブルース』が映し出す“こうあるべき”姿

綾瀬はるかの一気コールに賛否

 一方で“仕事人間ならばこうあるべき”は完璧にマスターした亜希子にとって、感情的な場面は全て宴会芸になってしまう。唯一、その方法が理屈抜きでクライアントの心を開かせてきた実績が伴っているからだろう。だが、キライな人参を食べてもらおうと、「みゆきのいいとこ、見てみたい! 一気! 一気!」と一気コールを繰り広げるのには、少々面を食らった。これをビジネス経験を活かした“しつけ”ととるか、イヤがっている娘に食べることを強要する“ハラスメント”ととるか。「シュールな展開」だと笑えるか、「ありえない」と眉をひそめるか。そして、亜希子と一緒に盛り上げた良一を包容力があるととるか、あまりにも鈍感ととるか。物語は、いつだって私たち自身を映し出す鏡だ。ドラマを疑似体験することで、見えてくるのは自分が今持っている“こうあるべき”なのだろう。

 過去から続いてきたものと、同じ色に染まろうとする必要はない。それまであった価値観にも愛を持ち、そして新しい自分の考えにも誇りを持つこと。良一の2本のカーネーションは、多様な価値観が広がりつつある今を生きる視聴者にも、手渡されたものなのかもしれない。

(文=佐藤結衣)

■放送情報
火曜ドラマ『義母と娘のブルース』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜23:07放送
出演:綾瀬はるか、竹野内豊、佐藤健、横溝菜帆、川村陽介、橋本真実、真凛、奥山佳恵、浅利陽介、浅野和之、麻生祐未
原作:『義母と娘のブルース』(ぶんか社刊)桜沢鈴
脚本:森下佳子
プロデュース:飯田和孝、大形美佑葵
演出:平川雄一朗、中前勇児
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/gibomusu_blues/

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