『サバイバル・ウェディング』は波瑠のラブコメ代表作となるか? ニュートラルな打たれ強さに期待

『サバ婚』は波瑠のラブコメ代表作となるか?

 女性視聴者としては正直、男性が女性を“育て上げる”というやや古臭い構図には違和感を抱くし、原作者の大橋が「書いている本人が結婚しないままに40歳を過ぎてしまった」と告白していることでも分かるように、劇中で明かされる婚活マニュアルはあくまで男性目線で、現実で有効とは限らない。宇佐美の理論やアドバイスはその言葉だけピックアップすると、女性から反発されることもあるだろう。だが、そんな中、ダメ出しをされるヒロインを他でもない波瑠が演じることでバランスが取れそうだ。

 これが見るからに女子力が高い女優が演じたら嫌味になってしまう。透明感があり、表情にもサバサバした性格がにじむニュートラルな魅力の波瑠だからこそ、男性目線のことを言われても、心底傷ついたりはしないように見え、同じ女性としても構えずに見られるのだ。

 NHK連続テレビ小説『あさが来た』で実業家として成功するヒロインを演じたときは、まさに彼女のその超然とした魅力が活きた。その後に出演した『あなたのことはそれほど』(TBS系)では、夫がいながら不倫する妻の役で、視聴者からバッシングされるような役柄でありながら、最後まで自分の欲望に忠実で、かつ自分のおろかさとずるさは潔く認めるヒロインの生き方を演じ、最後には視聴者も応援せざるをえないようなキャラクターの一貫性を見せた。

 今年は『もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系)で主人公の姉を演じ、自己中心的でわがままなキャリア女性をコミカルに好演。続く『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系)では、正義感が強く、粘り強く事件を解決する刑事を演じた。そして3クール連続の連ドラ出演となる『サバイバル・ウェディング』では、前2作とちがって特に優秀でもなく、世渡りも下手な等身大の女性を演じることになる。恋愛で失敗してしまうような“あるある”の場面で、女性の共感をどれだけ呼べるか、ニュートラルからややリアル方向に寄せた演技に期待したい。

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■放送情報
『サバイバル・ウェディング』
7月14日(土)スタート 毎週土曜22:00~放送
出演:波瑠、伊勢谷友介、吉沢亮、高橋メアリージュン、ブルゾンちえみ、前野朋哉、小越勇輝、奈緒、石田ニコル、ついひじ杏奈、山根和馬、風間俊介、須藤理彩、野間口徹、生瀬勝久、財前直見、荒川良々
脚本:衛藤凛
原作:『SURVIVAL WEDDING(サバイバル・ウェディング)』大橋弘祐著(文響社)
音楽:木村秀彬
出演:佐藤東弥
プロデューサー:鈴間広枝、大倉寛子
制作協力:日テレアネックスオン
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/survival-wedding/

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