2週連続でトップ5にランクインなし 日本映画界の絶対王者、東宝の憂鬱

 もっとも、今後の公開スケジュールを見れば、『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(7月27日公開)、『検察側の罪人』(8月24日公開)と大きなヒットが見込める実写作品の公開も控えている。また、とりあえず今週末には『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』(7月13日公開)、来週末には『未来のミライ』(7月20日公開)が公開されるので、「トップ5に1作品もなし」連続記録も先週末を最後に途絶えるのは間違いないだろう。

 ただし、映画興行では劇場で流される予告編などの効果もあって「ヒットがヒットを呼ぶ」という連鎖の法則があるのも事実。映画の宣伝は、実際に映画館に足を運ぶ習慣がある人たちに向けてダイレクトに訴えるのが一番効果的とも言われている。実写作品において一旦断ち切れてしまったその連鎖を、今後どのようにして繋いでいくのか。その盤石な配給体制だけでなく、作品の企画力や宣伝力においてもこれまで日本映画界を圧倒的にリードしてきた東宝。下半期の奮起に期待したい。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「文春オンライン」「Yahoo!」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。Twitter

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