初登場1位は『デッドプール2』 「アメコミ映画不毛の地」でもなぜデップーは受けるのか?

なぜデップーは日本でも受けるのか?

 先週末の映画動員ランキングは『デッドプール2』が、土日2日間で動員23万9000人、興収3億7500万円をあげて初登場1位に。昨年の『美女と野獣』以来となる7週連続1位という記録を打ち立てていた『名探偵コナン ゼロの執行人』は8週目にして動員8万7000人、興収1億2000万円と失速。しかし、既に累計では動員602万人、興収78億円。最終興収が80億円の大台に乗るのも確実な情勢となっている。

 『デッドプール2』の数字をもう少し詳しく見ていこう。公開初日の金曜日は映画サービスデーとも重なった6月1日。金土日の3日間では前作『デッドプール』の113%となる動員37万1955人、興収5億3671万3800円を記録。と、ここまでみると絶好調にも思えるが、2年前の同じ映画サービスデーの6月1日(水曜日)に公開された前作は、週末までの5日間で動員49万6904人、興収7億1175万6100円という快挙を成し遂げているのだ。前作の最終興収は最終興収20.4億円。現実的な目標としては、今作も前作同様に最終興収20億円前後を見据えた興行となるだろう。

 それにしても、『デッドプール』はここ日本でもマーベル×ディズニー、DC×ワーナーと孤軍奮闘ながら肩を並べるアメコミ第三勢力として完全に定着したと言えるだろう。『デッドプール』と同じマーベル×フォックスのR15指定単独ヒーロー作品として昨年公開され、批評的にも興行的にも世界的には大成功を収めた『LOGAN/ローガン』の日本での最終興収は7.3億円。日本でも高い知名度と人気を誇るヒュー・ジャックマン主演作、しかも作品自体も大傑作だったのに、この程度の数字で終わってしまったことからも、いかに『デッドプール』シリーズが健闘しているかがわかるだろう。

 日本での『デッドプール』人気の理由としてはまず、これがマーベルの作品であり、『X-MEN』シリーズの1作でもあるにもかかわらず、独立した一つのシリーズとして観客から受け止められていることが挙げられるだろう。よく、ディズニーのMCU作品を人にすすめると、「でも、過去の作品も観なくちゃわからないんでしょ?」と返される。実際にはほとんどの作品は単独でも十分に楽しめるのだが、「アメコミ作品は予習が必要」という一般観客層における先入観は、想像以上に根深いものであることに気づかされる。一方、『デッドプール』シリーズだって作中にはマーベルだけでなくアメコミ諸作品への数々の言及はあるし、特に今回の『デッドプール2』はアメコミに限らず膨大な過去の映画の引用やパロディが張り巡らされているわけだが、作品の「軽いイメージ」をシリーズ1作目の段階から宣伝でうまく作り上げることに成功してきた。今回、通常はアメコミのシリーズ作品では嫌われる「2」というタイトルのカウントを、原題のまま堂々と邦題でも掲げているのもその自信の表れだろう。

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