永野芽郁と佐藤健に“運命”の相手が 『半分、青い。』交錯していく2つの恋

『半分、青い。』交錯していく2つの恋

 「おめでとう、律くん。久しぶり」。弓道において一立ち中、四射とも的に中る皆中を成功させた律に、清がそっと話しかけ、今度は「(待ってて)」と口の動きで伝える。道場は、笑いも私語も厳禁な神聖な場。そのルールをかいくぐってでも、清が話しかけなければいけない理由があった。2人は、高校3年のときに一度だけ会ったことがある。律にとっては、初恋の相手であり、清を追いかけて弓道部に入ったところもあった。そして、清にとっても律との出会いは忘れられない、人生に何度もない出会い。言わば、律と清は運命的な恋愛の相手だ。


 梟町の神童として周りから期待されて育った律は、それが少し窮屈に思えていた。清も弓道部のエースとしてプレッシャーを背負い、本当の自分を見失っていた。似た者同士の2人は、導かれるように惹かれ合い、また会うことを約束する。「また会えるかな。例えば、明日とか」「いいよ。私たち、何かはぐれてた迷子がやっと会えたみたいね」。言葉数は少なくとも、徐々に緩んでいく2人の表情が、互いの通じ合う気持ちを伝え合っている。


 「空想の世界で生きてるやつは弱いんだ。心を動かされることから逃げるな。そこには真実がある」。全ての経験は漫画のためにという秋風の言葉に突き動かされた鈴愛。岐阜から東京にやってきた母・晴(松雪泰子)から「鈴愛は律くんかと思っとった」と言われ、ルックス、学力と自分は律とは不釣り合いだと鈴愛は返す。ここで思い出すのは、律と正人が岐阜の河原で話していた言葉。正人の「2人は付き合わないの?」という問いに、律は「そういうこと考えたことないわけじゃないけど、今が一番いい気がする。向こうの気持ちもあるから。それに俺好きな人がいるんだ」と返していた。

 鈴愛と律は、相手の気持ちを尊重し合いながら、一定の心の距離を取っているということ。さらに言えば、鈴愛が新聞部の小林とデートに出かけたとき、律は落ち着かずに無意識に動揺していた。探偵のように洞察力に優れた菜生(奈緒)の「あの2人は何かがあったらどうにかなるかもしれん」という高校時代の推理は、ここにきて起爆剤として作用してくる可能性も。第10週「息がしたい!」で、2組の恋愛はさらに交錯していきそうだ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』
平成30年4月2日(月)~9月29日(土)<全156回(予定)>
作:北川悦吏子
出演:永野芽郁、松雪泰子、滝藤賢一/佐藤健、原田知世、谷原章介/余貴美子、風吹ジュン、中村雅俊/豊川悦司、井川遥、清野菜名、志尊淳、中村倫也、古畑星夏
制作統括:勝田夏子
プロデューサー:松園武大
演出:田中健二、土井祥平、橋爪紳一朗ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる