鈴木浩介、静と動の演技で視聴者を引き込む 『崖っぷちホテル!』従業員たちの成長

鈴木浩介、『崖ホテ』で見せた静と動の演技

 鈴木らしいコミカルな演技も魅力的だった。小山内の存在で初心を思い出した丹沢だが、彼が長年愛情をこめて育ててきた幸運の食材・すっぽんがぞんざいに扱われ、また長年勤めてきた他の従業員に認知されていなかったことで、彼が見せてこなかった感情が爆発する。

 大切に育てていたすっぽんを抱えて厨房を抜け出す姿はユニークで、堅物な印象のあった彼の人間味があふれた瞬間だった。感情を爆発させる丹沢の姿には、ふつふつと笑いがこみあげてくる。しかしそれと同時に、彼がホテルに対して抱えてきた寂しさややるせなさに対して同情心も湧いてしまう。鈴木の演技はドラマをコミカルに見せるだけでなく、1人のキャラクターの過去を、回想シーンを加えることなく視聴者に伝えることのできる深みがあるのだ。

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 小山内は宇海が仕込んだ男だった。小山内は、丹沢が退職を決意するきっかけとなったライバルホテルの関係者であり、予定されていたそのホテルの建設が白紙に戻ったことで、丹沢の転職も白紙に戻った。「グランデ インヴルサ」の事務責任者に戻った丹沢が最後に発した「ただいま」という台詞からは、心からの安堵が伝わってきた。

 少しずつ、従業員の心が1つにまとまりつつあるように思える。このドラマは1時間という短い時間の中で、ホテルに対する従業員の思いが丁寧に描かれている。次回は誰の思いが描かれるのだろうか。たった1時間の「ご宿泊」が楽しみで仕方ない。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■番組情報
『崖っぷちホテル!』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:岩田剛典、戸田恵梨香、浜辺美波、中村倫也、くっきー(野性爆弾)、佐伯大地、鈴木浩介、チャド・マレーン、宮川大輔、りょう、西尾まり、渡辺いっけい
脚本:土田英生
チーフプロデューサー:福士睦
プロデューサー:福井雄太、柳内久仁子(AX-ON)
演出:猪股隆一
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/gakehote/
公式Twitter:@gakehote2018

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