『正義のセ』白洲迅が罪の意識に苛まれる姿に涙 加害者と被害者遺族の心情を考える

白洲迅、罪の意識に苛まれる姿に涙

 交通死亡事故は、いつ起きてしまうか予想ができない。突然大切な人を奪われてしまった、被害者側が怒りと悲しみに打ちひしがれるのは当然だ。たとえ頭の片隅では信号を無視したこちら側にも落ち度があるとわかっていても、加害者が憎い。この強い感情すべてを加害者にぶつけたい。一方で、加害者もまた故意じゃないからこそ深く傷つき、罪の意識に押しつぶされそうになるのではないだろうか。誰かを殺してしまったという十字架はあまりに重すぎる。被害者も加害者もともに、事故が起きた瞬間から人生が一変してしまうのだ。

 だからこそ、今回の第4話では、加害者である勝村の絶望した表情や、ボソボソと俯いて話す姿、事故現場と被害者の家にお花を持って謝罪する日々、事故を起こしてから厨房に一人佇むす様にどうしようもなく胸が締め付けられた。そして、被害者の遺族であるフネが事故が起きてからは何もやる気が起きないとコンビニのお弁当を食す日々を送っていることや、1人だから補聴器をする必要がないと悲しく笑う姿、「お父ちゃん……」と亡くなった旦那のことを想う様に、これでもかと心が痛む。

 最後に凜々子が勝村に向かって放った「大切なのはこれからです。勝村さんがどう生きていくか。情状酌量を申し出たフネさんの気持ちを忘れないでください」という言葉が印象的だった。その言葉からは、勝村とフネ両者の気持ちを考え、ともに明るい未来を切り開いていけるように背中を押す、凜々子の優しさが感じられる。誰かの感情と人生を自分のことのように大切にできる凜々子だからこそ、これからも検事として「罪を犯した人をできるだけ早く更生させて、社会に復帰させる」に違いない。

(文=戸塚安友奈)

■放送情報
『正義のセ』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00~放送
出演:吉高由里子、安田顕、三浦翔平、広瀬アリス、平埜生成、夙川アトム、大野拓朗、塚地武雅、宮崎美子、寺脇康文、生瀬勝久
脚本:松田裕子、松本美弥子、梅田みか
原作:阿川佐和子「正義のセ」シリーズ(角川文庫)
音楽:得田真裕
演出:南雲聖一、明石広人、岩崎マリエ
制作協力:AXON
制作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/seigi-no-se/

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