MOOSIC LABから登場した新たな傑作! 『なっちゃんはまだ新宿』の“エモさ”と“神秘性”

『なっちゃんはまだ新宿』のエモさと神秘性

 ところで、奇しくも本作が準グランプリとなったMOOSIC LABで、グランプリを受賞した『聖なるもの』(公開中)もまた、そこに存在しているのかしていないのかという、奇妙な少女との出会いによって紡ぎ出される一人称的な青春が描き出されている。こちらは男性視点で見つめるという違いはありながらも、“女優”という存在の神秘性が、映画そのものの神秘性を作り出しているという点で共通しているのだ。

 しかも、同作を手がけた岩切一空監督は本作の首藤監督の早稲田大学の先輩という繋がりも興味深い。長年にわたり日本映画界の登竜門として知られてきたぴあフィルムフェスティバルで世に出た2人が、MOOSIC LABでさらに飛躍を遂げた。今年で7年目を迎えるMOOSIC LABは、いつの間にか日本映画界の未来を決める重要な存在になろうとしていると見て間違いないだろう。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■リリース情報
『なっちゃんはまだ新宿』
5月2日(水)DVD発売
価格:4,104(税込)
収録時間:本編93分+特典映像
特典映像:メイキング、オリジナル予告編、特報
出演:池田夏海、菅本裕子、河西裕介、POLTA(尾苗愛、ふくだ傑)、ぱいぱいでか美
監督・脚本:首藤凜
劇中歌・主題歌:POLTA
販売元:バップ
(c)2017「なっちゃんはまだ新宿」フィルムパートナーズ
公式サイト: http://nacchan-mada.com/

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