吉沢亮と一つ屋根の下で暮らすドキドキ感! 『ママレード・ボーイ』“非現実”という設定の魅力

『ママレード・ボーイ』原作と現代の融合

 少女マンガが実写化されると、その再現度ばかりが注目されがちだが、光希を演じた桜井が「ホン(台本)読みのときに、原作がマンガだからという勝手な思い込みでデフォルメしたお芝居をしたら廣木隆一監督に『気持ちが全然伝わってこない』と言われて。それからは監督に求められる、普段の生活の一部のようなナチュラルな芝居にかなり苦戦しました」(「ママレード・ボーイ」桜井日奈子×吉沢亮×佐藤大樹×優希美青インタビュー (1/2) - 映画ナタリー 特集・インタビュー)と語っているように、そもそも廣木監督は原作をそのままスクリーンに映し出すことを意図していない。

 遊と光希が思い出作りのために出かけた北九州旅行のシーンは、2人だけの世界観を出すためにiPhoneで撮影。スマホのカメラで互いを撮影し合うというのは、90年代に描かれた原作ではあり得ない世界だが、映画『ママレード・ボーイ』には、新たな名シーンとして刻まれている。そんな風に原作と現代が融合するおもしろさが、今作の見どころのひとつ。“両親S”に隠れて付き合うというスリリングな日常や、印象的なセリフの数々など、原作を知っているからこそ楽しめる場面も多いが、なによりフレッシュな気持ちで映画を観ることが、作品を楽しむポイントと言えるだろう。

 実家の本棚からコミックを引っ張り出し、全巻読み直してから映画を鑑賞した筆者だが、美しい顔面をフル活用した吉沢と、初々しくキュートな桜井が紡いだ現代版『ママレード・ボーイ』鑑賞後には、また原作を読みたくなるという無限ループに突入。少女マンガの金字塔『ママレード・ボーイ』、やはり名作中の名作である。

■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。5歳・7歳の息子を持つ2児の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter

■公開情報
『ママレード・ボーイ』
全国公開中
出演:桜井日奈子、吉沢亮、佐藤大樹、優希美青、筒井道隆、谷原章介、檀れい、中山美穂、寺脇康文、藤原季節、遠藤新菜、竹財輝之助
原作:『ママレード・ボーイ』吉住渉(集英社文庫〈コミック版〉)
監督:廣木隆一
脚本:浅野妙子
音楽:世武裕子
製作:映画「ママレード・ボーイ」製作委員会
制作プロダクション:プラスディー
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)吉住渉/集英社 (c)2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会
公式サイト:http://marmaladeboy.jp

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