4月クールは“警視庁もの”3作が強い! 海外ドラマを思わせる、テレビ朝日のコラボ戦略

 テレビ朝日および東映がこのフランチャイズ形式をどれぐらい意識しているかはわからない。『科捜研の女』での内藤剛志が京都府警の刑事・土門になる前に全くの別人役で出演していたという矛盾からも、そして、今はしれっと警視庁・捜査一課長も“兼任”しているところから見ても、これまで計画性はなかっただろうが、『警視庁・捜査一課長』×『未解決の女』のコラボを皮切りに本格化して、警視庁での人間関係をどんどん複雑にしてくれれば面白い。例えば、『科捜研の女』と『警視庁・捜査一課長』の内藤剛志が生き別れの双子設定とか、『特捜9』の直樹(井ノ原)と『未解決の女』の矢代(波瑠)がひとつの事件でバッティングするとか、ちょっと想像しただけでも、いろいろ展開できそうだ。それには「シカゴ・シリーズ」の仕掛け人であるディック・ウルフのようなクリエイターが必要かもしれないが。

 この4月クールでは、海堂尊の小説をドラマ化した『ブラックペアン』(TBS系)に、フジテレビ/関西テレビで放送された『チーム・バチスタ』シリーズの田口公平(フジ版では伊藤淳史)、速水晃一(同じく西島秀俊)が登場しているのも、ひとつのサプライズ。既に原作小説でリンクしているからこそ成立したのだろうが、“キャラ萌え”するドラマファンはこういう設定こそ楽しいもの。

 折しもマーベル・シネマティック・ユニバースと呼ばれる同じ世界感とキャラクターを共有する総決算『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』も公開された。おなじみのキャラクターが別の作品に登場したり、大集合したりという二次創作的な楽しみ方が広がる今、日本のドラマにもそんな動きが生まれそうだ。そこまで考えてみて、はたと気づいた。東映制作なら、既に平成仮面ライダーが大集合する映画シリーズという前例があったのだった。いっそ『相棒』の右京から『特捜9』の直樹まで警視庁総出演でお願い!

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

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