初登場2位『レディ・プレイヤー1』 スピルバーグとワーナーのタッグが「あのシーン」を実現?

『レディ・プレイヤー1』某シーン実現の背景

 スピルバーグとワーナーと言えば、ワーナーお抱えの巨匠だったスタンリー・キューブリックの企画を引き継いだことから、そのままワーナー配給作品として作ることになった『A.I.』という前例がある。2001年6月に日米同時公開された同作は、その哲学的で深遠なテーマにもかかわらず、日本で興収97億円の大ヒットを記録(『千と千尋の神隠し』に次いでその年の年間興収ランキング2位)。実は『A.I.』はアメリカを筆頭に海外ではスピルバーグ作品としては興行的には失敗に終わり、当時は日本の観客がスピルバーグ作品を支えているという構図だった。時代は変わるものである。

 ちなみに『レディ・プレイヤー1』は同じワーナー作品でも日本だけでヒットした『A.I.』とは異なり、世界各国で「スピルバーグ復活!」を強く印象づける大ヒットを記録している。『レディ・プレイヤー1』をご覧になった方ならば、ワーナー&キューブリックにスピルバーグがオマージュを込めた、作中の一連のシーンに度肝を抜かれたことだろう。80年代のアニメやゲームの引用に溢れた同作の中で、引用の対象としては唐突にも思えたあの展開には、『A.I.』以来となる「スピルバーグ→ワーナー→キューブリックの絆」を現代に蘇らせるという意味合いもあったのだ。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「文春オンライン」「Yahoo!」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。Twitter

■公開情報
『レディ・プレイヤー1』
全国公開中
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ザック・ペン
原作:アーネスト・クライン著『ゲームウォーズ』(SB文庫)
出演:タイ・シェリダン、オリヴィア・クック、マーク・ライランス、サイモン・ペッグ、T・J・ミラー、ベン・メンデルソーン、森崎ウィン
配給:ワーナー・ブラザース
(c)2018WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/readyplayerone/

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