佐藤健の高校生役は29歳にして違和感なし! 『いぬやしき』や『半分、青い。』の演技を考察

佐藤健、高校生役を奔走

 奇しくもこの爽やかキャラ好演中のタイミングで封切られた『いぬやしき』。律とは打って変わって史上最凶の極悪高校生ともいえる、獅子神皓というキャラクターに佐藤は扮している。思いがけず強大な力を手にしてしまった獅子神は、全日本人にたったひとりで宣戦布告するのだ。ネタバレ防止のため詳述は控えたいところだが、ここに母子の親子愛、男女の恋愛要素、唯一の友との友情などのドラマが展開し、一筋縄ではいかない“獅子神=佐藤健”の姿を堪能することができる。

『いぬやしき』より (c)2018映画「いぬやしき」製作委員会 (c)奥浩哉/講談社

 何よりやはり、佐藤のしなやかで強靭な肉体には見惚れてしまう。アクション俳優としても大きな存在感を示す彼は、『るろうに剣心』(2012-2014)シリーズや、『亜人』(2017)などでも圧巻の身体パフォーマンスを披露してきた。とくに彼の疾走感溢れる走りの姿は、荒々しい状況下でも品があり美しく、物語の大きな転換時に見られることが多い気がする。本作でも彼の俊足が挿入された瞬間に、観客は胸の高鳴りを抑えられないだろう。

『いぬやしき』より (c)2018映画「いぬやしき」製作委員会 (c)奥浩哉/講談社

 佐藤はこれまで、人気俳優のひとりにしては珍しく、毎日見る顔というわけではなかったように思える。毎年なにかしら大きな作品で大役は務めるものの、出演本数自体は決して多くはない。作品1本1本に時間をかけているのであろうということは、彼の出演作を観れば間違いなく分かるはずである。彼の演じる多くの知的でクールなキャラクターたちが言葉以上にその姿で語るのと同様に、彼は作品で語るのだ。今年は出演作の公開が続く。間違いなく“佐藤健の年”になるだろう。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■公開情報
『いぬやしき』
4月20日(金)全国東宝系にてロードショー
出演:木梨憲武、佐藤健、本郷奏多、二階堂ふみ、三吉彩花、福崎那由他、濱田マリ、斉藤由貴、伊勢谷友介
監督:佐藤信介
原作:奥浩哉
製作:フジテレビジョン
配給:東宝
(c)2018映画「いぬやしき」製作委員会 (c)奥浩哉/講談社
公式サイト:http://inuyashiki-movie.com/

■放送情報
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』
平成30年4月2日(月)~9月29日(土)<全156回(予定)>
作:北川悦吏子
出演:永野芽郁、松雪泰子、滝藤賢一/佐藤健、原田知世、谷原章介/余貴美子、風吹ジュン、中村雅俊/豊川悦司、井川遥、清野菜名、志尊淳、中村倫也、古畑星夏
制作統括:勝田夏子
プロデューサー:松園武大
演出:田中健二、土井祥平、橋爪紳一朗ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/

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