視聴者さえも煙に巻く七変化! 『コンフィデンスマンJP』長澤まさみの女優魂がすごい

『コンフィデンスマンJP』長澤まさみの女優魂

 その上でダー子という役を見ると、とにかく疾走感がすごい。しおらしく清楚な表情を見せたかと思えば、次の瞬間には大口開けて爆笑しているようなキャラクターには一分の隙もない。さらにダー子を演じながら、「姉御肌の壺振り師」「仕事熱心なCA」「根暗なインターン生」などターゲットを騙す上でさまざまなキャラクターにもなり切る。すなわち“演じながら”演じている。それだけに長澤に要求される振り幅は相当広いはずだが、本人曰く「実は、いろいろなキャラクターに成り切る方が演じやすいんです。常に新鮮な気持ちでいられます」と、むしろ楽しんでいる様子。思えば脚本の古沢良太は、『リーガルハイ』でも主人公の古美門弁護士を演じた堺雅人に、相当アクの強い演出をかぶせ、結果唯一無二のキャラクターを作り出した“前科”がある。本作での長澤も、古沢脚本のマジックで、これまで培った多彩な引き出しを次から次へと開けられている状態なのかもしれない。『コンフィデンスマンJP』は長澤まさみという女優のポテンシャルを改めて世間に印象付ける作品にもなりそうだ。

 本作への出演に向けたインタビューでは「私自身も、今が女優として重要な時期にさしかかっていると感じていますので、“今を頑張らなくして、この先はない”という覚悟で挑みます」と意気込みも相当なもの。第3話以降もゲスト俳優の演じる美術界、芸能界、美容界とさまざまな業界の悪人たちが登場し、丁々発止のやり取りでドラマを盛り上げていく。引き続きどんな顔を見せてくれるのか、長澤まさみの七変化に翻弄されたい。

■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。

■放送情報
『コンフィデンスマンJP』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:長澤まさみ、東出昌大、小日向文世ほか
脚本:古沢良太
企画:成河広明
プロデュース:草ヶ谷大輔、古郡真也
演出:田中亮、金井紘、三橋利行
制作・著作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/confidenceman_jp/index.html

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