『となかぞ』多くの人を救う正義のドラマに 最終回で提示した“幸せ”への答え

『となかぞ』多くの人を救う正義のドラマに

 最終回を迎えて、青木朔(北村匠海)と広瀬渉(眞島秀和)以外のカップルは、第1話で掲げていた考えをがらりと変えていった。五十嵐夫婦は子供のいない人生に向き合い、事実婚カップル・川村亮司(平山浩行)&杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)は亮太(和田庵)を招き入れ、結婚。小宮山深雪(真飛聖)は、娘の思う人生を歩ませることに決め、さらには働きにも出た。

 理想と幸せは、別物だ。自分の夢が叶えることだけが幸福ではなく、固定観念に囚われず、寄り道しながらでも、相手と自分が納得のいく方法を探していくのが何よりも幸せを手にする上で重要になってくるのだろう。ちなみに、「隣の芝は青く見える」ということわざは、物理的にも検証されており、自分の家の芝生は真上から見ているから汚く感じてしまうそうだ。物の見方の角度さえ変えれば、自分の手元の幸せに気付くことができるかもしれない。

 不妊治療やゲイカップル、子供を望まぬ夫婦の形などドラマ化するには重すぎる問題と真摯に向き合ってきた本作。多様性が重要な現代において知っておくべき事柄を、クセの強いキャラクターと抜群のテンポでコミカルに描き、視聴者に丁寧に教えてくれた。

 2ケタ台には届かなかったものの、最終回の視聴率は最高の7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。殺人が起きたり、電気が走るような恋に落ちたりといった劇的な展開はなかったが、多くの人々を救う正義のドラマが放送されたことが何よりもうれしい。

(文=阿部桜子)

■放送情報
木曜劇場『隣の家族は青く見える』
出演:深田恭子、松山ケンイチ、平山浩行、高橋メアリージュン、北村匠海、眞島秀和、真飛聖、野間口徹、伊藤かずえ、高畑淳子、橋本マナミほか
脚本:中谷まゆみ
プロデュース:中野利幸
演出:品田俊介、高野舞
制作:フジテレビ第一制作室
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/tonari_no_kazoku/

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