柄本佑×前田敦子が語る、役者として表舞台に立つこと 『素敵なダイナマイトスキャンダル』対談

柄本佑×前田敦子が語る、役者として表舞台に立つこと

柄本佑「衣装の似合い方が尋常じゃなかった」

ーー前田さんのセリフの独特な発音が印象的でした。昭和の映画などで見る、“肝の据わった女性像”みたいなものを感じたのですが、意識しましたか?

前田:現代とは語尾が全く違いました。「~よね」とか、「~だわ」とか。なので、普通には喋れなかったんです。台本を読んでいて、会話が確実に現代とは違うテイストだったので、普通の言葉に変えてしまうのも違うんじゃないかと思ったんです。だから自然に喋ったら、あんな感じになっていました。いい違和感になっているならうれしいです。

前田敦子

ーー60年代からバブル期までという時代設定の中で、幅広い年代を演じてどんどん変わっていく2人の様子も印象的でした。

柄本:あっちゃんは出番が結構とんでるもんね。一気に老けているところは、あの衣装の似合い方が尋常じゃなかった。衣装合わせのときに現場で話題になるくらいだったんです。あのセーターにあの眼鏡で、これはすごいぞって(笑)。

前田:私も衣装合わせのときにびっくりしました。牧子さんはもうちょっと女性らしいキャラクターをイメージしていたのですが、全然違いましたね(笑)。潔い演出が気持ちよかったです。

柄本:アルパカのセーターに肩パット入ってて、妙に四角いんだよね。似合ってたなぁ。

前田:裏テーマで、衣装に動物の柄を入れようというのがあったんです。監督がそこにすごくこだわって、牧子さんは全部動物にしましょうって。イルカとかワニとか。

柄本:髪型とかもすごいですよ。こういうのやるのって楽しいんです。ポスタービジュアルでの写真はエクステで、地毛で出演しているところはだいぶ青年期のところかな。

前田:(松重豊さん演じる)警察に呼び出されているところは?

柄本:あれはカツラ。メイクさんに作り込んでもらったんですけど、クオリティが高いんですよ。この作品では、地毛で登場するところがほとんどなくて、美術とか髪型とか衣装とか、これだけお膳立てしていただいているので、そういう世界がもうでき上がっちゃっていて。だから現場に身を任せておけばいいという感じでした。そこでセリフを言うことで何かが生まれてくるという。

前田:たしかに、完璧でしたね。

柄本:作品の世界観を細かく作ってくださっているので、何の違和感もなく演じることができました。

前田敦子「ネット社会は冷たい声がやっぱり目立ってしまいます」

ーー柄本さんの演じる末井というキャラクターが、世間の母親たちから「『写真時代』を本屋に置くな」と抗議を受けても一切動じずに、気にせず流す姿が印象的でした。2人は役者として表舞台に立っていますが、周囲の声はどのように受け止めているのでしょう。

柄本:こちらの方、元AKB48ですからね。

前田:ネット社会は冷たい声がやっぱり目立ってしまいますからね。寂しい時代だとは思います。だからネットで誰かの悪口を見かけたら、すごく同情しますし、そういう言葉に対して敏感になったかもしれないです。でも私は基本的に見ないです。友達が送ってきてくれて知ることはありますけど、私自身から知ることはないです。

柄本:それは経験した人の言葉だね。冷たい声の方が目立つよね。

前田:ちょっと離れたところで私は生きてます。佑さんは別に何も気にしないですよね?

柄本:もし俺がそれをすごく気にする人間だったらどうするんだよ。Twitterでエゴサーチとかしている人間だったら傷ついていたよ。ただ幸いなことに、そういう人間じゃなかったから傷つかなかった。

前田:(笑)。佑さんこそ、そういうのとは全然関係ないところに生きていそうです。

柄本:全然関係なさ過ぎて……。いわゆるTPO的なこと? 誰かの結婚式にジャージで行こうとして、すげー怒られたりとか(笑)。だからそういう意味では常識がない。

前田:いや、でも佑さんがジャージで来てもびっくりしないですよ。「すごいなぁ!」くらい(笑)。

柄本:でも嫌なことを言われたら、人間なのでもちろんやっぱり嫌です。それ以上にやらなきゃいけないことが目の前にあるので、気にしているどころじゃないというか。それ以上に俺が気にしなきゃいけないのが、結婚式は大人としてスーツをちゃんと着ていかないといけないなと。そっちの方が大変です。

柄本佑

ーーそれは誰かに指摘されて気付いたんですか?

柄本:うちの妻にです。結婚する前の付き合っている頃の話ですけど、一緒に出かけるときに、「その格好で行くの? 恥ずかしいんだけど」と言われて。そのときに“TPO”という言葉を初めて知りました。以前、映画『初恋』の舞台挨拶に、下駄に短パン、Tシャツの格好で行ったんです。そしたら周りはみんなきちんとした格好で、僕だけ悪目立ちしてしまいまして。それなのに、「みんなオシャレしちゃって~」とか言ってたんですよ。

前田:ヤバい(笑)。

柄本:そういうときに「佑はそういう奴だから!」みたいな言葉を言われて。それに甘えてたんだよね。でもやっぱりダメなんだと。30歳過ぎた大人は悪目立ちになっちゃうので、その辺はしっかりしないといけないなと感じています。

前田:気にするも何もないところにいますよね、本当に。

柄本:でも根本は気にしなくていいんじゃないかと思ってる。気にする人は気にすればいいし、気にしない人は気にしなくていいのかなって。要するにそれって好き嫌いの問題。好きだったらやればいいし、どっちでもいいと思ってるならやらなくてもいいと思っています。これが60歳、70歳までいけば関係ないところにいけるんでしょうけど、まだ今30代なので。そこは大人としてちゃんとするところはちゃんとしようぜと、癖づけようという感じですね。

柄本佑×前田敦子

(取材・文=折田侑駿/写真=大和田茉椰)

■公開情報
『素敵なダイナマイトスキャンダル』
テアトル新宿、池袋シネマ・ロサほかにて公開中
出演:柄本佑、前田敦子、三浦透子、峯田和伸、松重豊、村上淳、尾野真千子、中島歩、落合モトキ、木嶋のりこ、瑞乃サリー、政岡泰志、菊地成孔、島本慶、若葉竜也、嶋田久作
監督・脚本:冨永昌敬
原作:末井昭『素敵なダイナマイトスキャンダル』(ちくま文庫刊)
音楽:菊地成孔、小田朋美
主題歌:尾野真千子と末井昭「山の音」(TABOO/Sony Music Artists Inc.)
配給・宣伝:東京テアトル
2018年/日本/138分/5.1ch/ビスタ/カラー/デジタル/R15+
(c)2018「素敵なダイナマイトスキャンダル」製作委員会
公式サイト:dynamitemovie.jp

▼柄本佑&前田敦子チェキプレゼント▼

柄本佑×前田敦子 サイン入りチェキ

柄本佑と前田敦子のサイン入りチェキを1名様にプレゼント。応募要項は以下のとおり。

【応募方法】
リアルサウンド映画部の公式Twitterをフォロー&該当ツイートをRTしていただいた方の中から抽選でプレゼントいたします。当選者の方には、リアルサウンド映画部の公式TwitterアカウントよりDMをお送りさせていただきます。

※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
※複数のお申し込みが発覚した場合、ご応募は無効とさせていただく場合がございます。

<リアルサウンド映画部 公式Twitter>
https://twitter.com/realsound_m

<応募締切>
2018年3月31日(土)

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