広瀬すずにとって瑛太は“得体の知れない何か”? 『anone』奇妙な展開へ

『anone』第8話で奇妙な展開に

 同時に坂元裕二のドラマにおいて、食卓は戦場でもある。『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)では、登場人物が勢揃いした団欒の場が修羅場に変貌する様子が描かれていた。

 今回、持本が中世古を誘って鍋を食べる場面は、林田家の団欒が楽しく描かれていたからこそ、会話のない気不味さが際立っており、逆説的に中世古の孤独が際立っていた。先週までは中世古のことを、亜乃音たちの日常を破壊した悪魔のように感じていたはずなのに、林田家から阻害された可哀想な男に見えてしまい、何とも複雑な気分になる。

 持本を心配する青羽の遠回しの愛の告白をニヤニヤしながら見守る亜乃音とハリカの姿や、はじめて電話で会話するハリカと彦星の初々しいやりとりなど、観ていて和むシーンも多かった。偽札をパチンコの両替機に投入しようとしたところで、彦星から電話がかかってきたように、犯罪という非日常に飛び出そうとしたハリカたちの行動をつなぎ止めるのが幸せな日常という対比が、今まで以上に強く打ち出されている。

 次回予告を観ると、中世古が花房を殺したことで、林田家はバラバラになり逃亡生活を余技なくされるように見えるが果たしてどうなるのか?

 “得体のしれない何か”が、ついに正体を見せ始めた。

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■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■放送情報
『anone』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:広瀬すず、田中裕子、瑛太、小林聡美、阿部サダヲ、火野正平ほか
脚本:坂元裕二
演出:水田伸生
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:次屋尚
制作協力:ザ・ワークス
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/anone/

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