友達か? 同僚か? 『アンナチュラル』石原さとみと市川実日子の関係から考える、“他者との距離”

『アンナチュラル』で描かれた“他者との距離”

 一見すれば、「ただの同僚です」と答えたミコトたちの関係が理想の友人関係であるように思え、仲間うちで悪に働いた4人は「そんなの友達じゃない」と言ってしまいたい間柄に思える。そして六郎たちは、“友達”という言葉を利用した、強要された関係である。「友達じゃありません」(東海林)、「ただの同僚です」(ミコト)、「そう、ただの同僚」(東海林)、「ねえ」(ミコト)と笑い合うふたり。「いいよ名前なんてどっちでも」。ミコトは六郎にそう言っていたが、友達、同僚とそのような関係性をさす言葉自体、“名前なんてどっちでもいい”のだろう。2人が感じている相手との距離、他者から見た2人の関係が、事実なのだ。そしてそれを改めて解剖する必要はないのだから。

 それにしても、脚本を手がける野木亜紀子が作品の中に切り込んでくるネタには毎回驚かされる。第2話のSNSを使った自殺志願者に起きた悲しい事件が、実際に現実でも類似事件が起こっていたのと同様、第6話も、今現在も問題になっている仮想通貨不正流出の事件と重なる。どちらも現実に起きる以前に描かれたストーリーだ。(参考:アンナチュラルな野木亜紀子Twitter

 すでにシリーズ化を望む声が多く上がっている本作。第6話を観て、ミコトと東海林コンビのやりとりをいつまでも見ていたいと改めて感じさせられた。

(文=大和田茉椰)

■放送情報
金曜ドラマ『アンナチュラル』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜放送
出演:石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、池田鉄洋、竜星涼、小笠原海(超特急)、飯尾和樹(ずん)、北村有起哉、大倉孝二、薬師丸ひろ子(特別出演)、松重豊ほか
脚本:野木亜紀子
プロデューサー:新井順子(ドリマックス・テレビジョン)、植田博樹
演出:塚原あゆ子(ドリマックス・テレビジョン)
製作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/unnatural2018/

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