志尊淳、『女子的生活』のテーマを体現 制作陣の熱意詰まった最終回を振り返る

『女子的生活』制作陣の熱意詰まった最終回

 後藤の熱い気持ちをしったみきは、“恥ずかしさ”のあまり家を飛び出す。後藤が家に帰ったときにホッとした表情を見せていたことが象徴しているように、みきにとっても後藤はかけがえのない存在になっていたのだ。自分のために奮闘したマナミの話を後藤から聞いたみきは「人って面白いなあ」とつぶやく。トランスジェンダーとして生きるため、相手のことを必要以上に観察し、“相手はこういう人間”として距離をとることもあったみき。一方で、距離を取ることは相手を知るチャンスを失ってきたことでもある。それを後藤が変えた。後藤の存在がそうであったように、「分からない」相手は、知っていく面白さがあるということでもあるのだ。

 人は昔から好きなものは、大きくは変わらない。その一方で、分からなかったり嫌いだったりするものが、時間をかけることで好きになることもある。小川みき、後藤の姿を通して、人と人とが関わり合うこと、いまを生きることの楽しさを存分に伝えてくれた作品だった。これまでのイメージを覆す好演を見せた玉井詩織、町田啓太、小芝風花ら脇を固めたキャスト、そして、なにより俳優・志尊淳の活躍に今後も注視し続けたい。

(文=石井達也)

■放送情報
『女子的生活』
1月5日(金)〜1月26日(金)
NHK総合 毎週金曜よる10時(連続4回)
出演:志尊淳、町田啓太、玉井詩織、玄理/小芝風花、羽場裕一、土村芳、山口翔悟ほか
原作:坂木司
脚本:坂口理子
演出:新田真三、中野亮平
写真提供=NHK
公式サイト:http://www.nhk.or.jp/drama10/joshiteki/

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