正月興行圧勝『最後のジェダイ』 前作『フォースの覚醒』の70%推移をどう読む?

『最後のジェダイ』前作の70%推移を考察

 2018年に入って初の動員ランキング。集計期間は12月最後の週末12月30日と31日の2日間なので正月興行の全体像が見えてくるのは来週となるが、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』、『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』、『DESTINY 鎌倉ものがたり』の上位4作品の順位は先週とまったく同じ。動員ランキングでは3週連続2位ではあるものの、興収では年末の時点で『8年越しの花嫁 奇跡の実話』、『DESTINY 鎌倉ものがたり』を下回っている『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』を除いた3作品による3強体制は確定。独走状態の『最後のジェダイ』を追って、興行では松竹『8年越しの花嫁 奇跡の実話』と東宝『DESTINY 鎌倉ものがたり』の実写日本映画が熾烈な2位争いを繰り広げている。

 公開から3週目の週末を終えた12月31日時点での『最後のジェダイ』の累計興収は44億9600万円という圧倒的な強さ。もっとも、これは2年前の『フォースの覚醒』の同期間の興収64億円と比べて約70%の推移となる。1月1日には世界興収で早くも10億ドルを突破したことも報じられたが、北米における好成績が突出していることも含め、概ね世界的にも『フォースの覚醒』に対して同比率、同水準のペースで大ヒットを記録中。観客からの作品評価では賛否が大きく分かれているものの、現行3部作の成否を決定づける重要な位置付けにある2作目『最後のジェダイ』は、日本においても、世界(中国での公開は1月5日となるが)においても、想定通りの堅調な成功を収めていると言っていいだろう。

 ディズニーが再起動させた現行『スター・ウォーズ』は、2015年12月にエピソードVII『フォースの覚醒』、2016年12月にスピンオフ作品『ローグ・ワン』、2017年12月にエピソードVIII『最後のジェダイ』と、これまで3年連続で日本でも世界各国と同時に公開されて、正月興行の主役となってきた。しかし、2018年にはそのペースに大きな変化が訪れる。

 『ローグ・ワン』に続く2作目のスピンオフ作品『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の北米での公開は、サマーシーズン幕開けのタイミングとなる今年の5月25日。同作の日本公開は、日本の夏休み興行に照準を合わせた今年の6月29日となる。まずここで、これまで3年にわたって続いてきた12月公開というリズム、そして日本でも世界各国と同時に公開されてきた公開タイミング、いずれも大きく変わることになる。ルーカス時代のオリジナル3部作、新3部作はいずれも3年に1回のお祭りであったが、ディズニー時代のスター・ウォーズは1年に1回どころか、2017年から2018年にかけては1年に2回のお祭りとなるわけだ。ハン・ソロのスピンオフという企画はネタ的には鉄板であるが、この夏、マーケットが「スター・ウォーズ疲れ」を起こす可能性もあり得る。

 そして、まだサブタイトルも発表されていない、現行3部作の完結編となるエピソードIX(ワーキングタイトルは“Black Diamond”とのこと)の公開時期は、『アナと雪の女王』続編の公開時期と被らないためのディズニー内の調整や、コリン・トレヴォロウの降板、J・J・エイブラムスの再登板という監督選定をめぐるゴタゴタなどの二転三転を経て2019年12月20日北米公開で正式決定。当初は2019年5月が予定されていて、そうなると『ハン・ソロ』同様に日本での同時期公開は困難だったわけだが、おそらくは日本でも『フォースの覚醒』や『最後のジェダイ』と同じように同時期公開が濃厚。2019年12月に公開がずれ込んだことで、ホッと胸をなでおろした日本のスター・ウォーズ・ファンも少なくないはず。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「興行成績一刀両断」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる