原作にない究極のテーマ“出生前診断”に挑戦 『コウノドリ』最終回を見届けよ!

『コウノドリ』の最終回を見届けよ!

 ところで、筆者の周囲の女性に『コウノドリ』の感想を聞いてみると、経産婦は自分が出産したときなんのトラブルもなかったとしても、ママ友などからたいへんだった出産の話を聞いたことがあり、「ドラマのとおり、妊娠中や出産後はいろいろあるよね」と共感する声が多い。しかし、まだ出産をしていない若い世代の一部は「妊娠ってあんなにたいへんなことがあるの? 妊婦や赤ちゃんが死んじゃったりするの? ドラマを見ると子どもを産むのが怖くなってくる」と恐怖感が先に立ってしまうようだ。

 実は筆者も持病があり、周産期医療センターで出産をした。妊娠中は二度入院して、自分も含め同室の妊婦たちがいろんなリスクを抱えている様子をそこで初めて知った。ただ、全体から見れば周産期医療センターに運ばれてくる妊婦はごくわずか。妊婦が亡くなる確率を見てみると、概算で年間の出産数100万に対して死亡は50人。2万人に1人で、0.005%のリスクにすぎない。たしかに「お産は命がけ」なのだが、0.005%のリスクを怖れずに妊婦健診をきちんと受けるなどすれば、トラブルの確率はさらに減らせるはずである。原作も含め『コウノドリ』にはそういった啓蒙的な役割がある。特に、少子化で若い女性が母親や姉などから出産の経験を聞くことが少なくなっている現在、疑似体験のような形でドラマを見ることには意味があるのではないだろうか。

 妊娠・出産・産後のリアルを知るだけではなく、キャラクタードラマとしても楽しめた本作。若手の下屋(松岡茉優)と白川(坂口健太郎)が修業のため周産期医療センターを離れる決断をし、サクラの相棒である四宮も郷里で産婦人科医をしていた父親を亡くし、その跡を継ぐのでは?と思われる展開に。助産師の小松(吉田羊)もサクラに相談したいことがあると言い出すなど怪しい雰囲気。もしかするとメインキャストでペルソナの産科に残るのはサクラだけになるのか? 涙、涙の最終回になりそうだ。

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■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■放送情報
金曜ドラマ『コウノドリ』
TBS系にて毎週金曜22:00〜放送
原作:鈴ノ木ユウ「コウノドリ」(講談社「モーニング」連載)
出演:綾野剛、松岡茉優、吉田羊、坂口健太郎、星野源、大森南朋ほか
プロデューサー:那須田淳、峠田浩
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/kounodori/

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