「70年代よりも現代のほうがパンクの精神を必要としている」J・C・ミッチェル監督インタビュー

J・C・ミッチェル監督のパンク論

「映画もまた人生と同じように複雑であるべき」

ーー今回の作品の内容面についても訊かせてください。ラブストーリーとしてのリアリティとSF的なフィクションを中心に、様々な要素が取り入れられたものになっていますよね。そのあたりのバランス感覚はどの程度意識しましたか?

ミッチェル:実は僕自身、この作品をSFとは思っていなくて、おとぎ話だと捉えている。パンクのシーンも、より女性的、クィア的なエネルギーに満ちた、僕が90年代に遊びに行っていたような場所にとても近いおとぎ話のようになっているんだ。心から送り届けている誠実な作品ではあるけれど、典型的な70年代のエイリアンの姿をした異星人についてはジョークのような部分もあって、そこはユーモアを感じてもらえるんじゃないかな。僕の作品はどの作品もそうだけど、楽しさとエモーショナルな瞬間を必要としているんだ。中にはそれがダメだという人もいるけどね(笑)。でも、確かに僕が好きな70年代の監督たちは、みんなそのバランス感覚を大事にしながら、多くの素晴らしい作品を生み出してきた。今は多くの人たちが「この作品はコメディ? ドラマ? アクション?」というように、何かひとつの枠に収めようとするけれど、そんな必要はないよね。それがまかり通ってしまうのは、資本主義の勝利を意味する。たったひとつのものだと決めつけてしまうことがね。自分の人生には、ユーモアもドラマもアクションも恋愛もセックスもあるわけだから、映画もまた人生と同じように複雑であるべきなんだ。

(取材・文=宮川翔)

■公開情報
『パーティで女の子に話しかけるには』
新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開中
監督・脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル
原作:ニール・ゲイマン「パーティで女の子に話しかけるには」
出演:エル・ファニング、アレックス・シャープ、ニコール・キッドマン
配給:ギャガ
(c)COLONY FILMS LIMITED 2016
公式サイト:http://gaga.ne.jp/girlsatparties

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