アメコミ・ファンと映画ファン 『ジャスティス・リーグ』をめぐる二つの評価軸

『ジャスティス・リーグ』めぐる二つの評価軸

 かく言う自分も、相対的にはマーベル映画の方が映画としての完成度の高い作品が多いという評価だが、必ずしもすべてのマーベル映画が素晴らしいわけではないし、必ずしも近年のDC映画がマーベル作品に劣っているわけではないとも思っている。ただ、一つ問題を挙げるとするなら、マーベルの作品はどの作品も個々の狙いの照準が定まっていて、その上でマーベル・シネマティック・ユニバース全体の方向性にも迷いが感じられないのに対して、DCエクステンデッド・ユニバースの作品は結果や批評に左右されがちで、今後の方向性が不透明であること。今回、本来なら必勝が運命づけられていた『ジャスティス・リーグ』でのつまづきの原因も、作品単体への評価ではなく、DC映画のブランド全体の信用が落ちていることの表れだったのではないかと思う。次のDCエクステンデッド・ユニバース作品は、ジェームズ・ワン監督による来年末公開(本国)の『アクアマン』。まだ時間はたっぷりある。体制の立て直しに期待したい。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「文春オンライン」「Yahoo!」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。Twitter

■公開情報
『ジャスティス・リーグ』
全国公開中
監督:ザック・スナイダー
出演:ベン・アフレック、ガル・ガドット、ジェイソン・モモア、エズラ・ミラー、レイ・フィッシャー
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
公式サイト:http://www.justiceleague.jp

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