『イット』、公開3週目で1位奪取! アタリハズレの激しいホラー映画興行の今後を考える

『イット』、公開3週目で1位奪取!

 興行結果のアタリハズレと同様に、作品内容のアタリハズレが激しいのもホラー映画の特徴。興行結果と作品内容は必ずしもリンクしているわけではないが、過去の大ハズレ体験が尾を引いてホラーを遠ざけている観客も少なくないだろう。ただ、現在のホラー映画ブームの立役者であるジェームズ・ワンの関連作品は、ハズレの確率が極めて低いことはもっと周知されてもいいはず。

 今回の日本での『イット』の大ヒットは、作品に何の所縁もないテレビタレントによる付け焼き刃のプロモーションや吹き替えなどではなく、作品そのもののソーシャル・メディア上での評判や口コミが最も有効であることを改めて証明してみせた。『イット』の続編は、2年後の2019年に公開されることが既に決定している。配給会社は今後、『イット』に限らずヒット・シリーズのホラー映画の新作公開時には、放送局や各ストリーミング・サービス会社とも連動をもっと強めて、積極的にフランチャイズに新しい観客を引き入れる戦略を立てる必要があるだろう。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「文春オンライン」「Yahoo!」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。Twitter

■公開情報
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』
全国公開中
監督・脚本:アンディ・ムスキエティ
出演:ジェイデン・リーバハー、ビル・スカルスガルド、フィン・ウルフハード、ソフィア・リリスほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:itthemovie.jp

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