高杉真宙、『セトウツミ』内海役が気になるワケ “掛け合い”で引き出された新たな魅力

高杉真宙、掛け合いの中で引き出される魅力

 けれども、ここ最近の彼の芝居を見ていて思うのは、むしろ自然体であることを基本としつつも、誰か他の役者との「掛け合い」の中で、新しい魅力が引き出されているということだ。思えば、『散歩する侵略者』の彼の役がとりわけ印象に残っているのは、長谷川博己との軽妙な「掛け合い」があってこその話だった。どこか超然とした雰囲気を身にまといながらも、未熟さの残るチャーミングな「侵略者・天野」の実像は、長谷川との「掛け合い」の中で浮かび上がる。その意味で、今回の『セトウツミ』は、彼の新しい魅力を引き出す上で、まさに打ってつけの役どころだったと言えるだろう。

 クールな役を演じていても、決して冷たすぎることはなく、武骨な役を演じていても、その奥底にどこか繊細さを感じさせる高杉。その魅力は、今後新しい共演者との「掛け合い」によって、まだまだ引き出されていきそうだ。だからこそ、その一挙手一投足から目が離せない。そんな存在に、今の彼はなろうとしているように思える。

 長い手足と凛々しい眉が、どこか若かりし頃の高良健吾を、その品のある面持ちが高橋一生を彷彿とさせ、さらにはその現場での愛されっぷりに、神木隆之介と似たものを感じるなど、今後の成長と活躍が楽しみな彼の次回作は、いくえみ綾の漫画を実写化した映画『プリンシパル』(2018年3月公開予定)になるのだろうか。その中で彼は、ダブル主演の黒島結菜と小瀧望(ジャニーズWEST)のあいだに立つ、“ゆるふわイケメン”桜井和央役を演じている。いわゆる“いくえみ男子”のなかでも、根強い人気を持つ「和央(わお)」役を、彼はどんなふうに演じているのだろうか。それ以上に、軽妙な芝居を得意とする小瀧が演じる、「和央」の幼馴染みであり特別な関係である“俺様系イケメン”「館林弦」と、彼はどんな「掛け合い」を見せながら、そこでどんな新しい魅力が引き出されてゆくのだろうか。まずは、そこに注目したい。

■麦倉正樹
ライター/インタビュアー/編集者。「smart」「サイゾー」「AERA」「CINRA.NET」ほかで、映画、音楽、その他に関するインタビュー/コラム/対談記事を執筆。Twtter

■放送情報
ドラマ25『セトウツミ』
毎週金曜深夜0:52~1:23、テレビ東京ほか(TX、TVO、TVh、TVQ)にて放送
原作:此元和津也(秋田書店「別冊少年チャンピオン」連載)
主演:高杉真宙、葉山奨之
出演:清原果耶、森永悠希、片山友希、原西孝幸、谷村美月、山田杏奈
脚本:宮崎大
監督:瀬田なつき、坂下雄一郎、杉田満
チーフプロデューサー:大和健太郎
プロデューサー:小林史憲、泉英次、宮崎大
制作:テレビ東京/ブロードメディア・スタジオ         
製作著作:「セトウツミ」製作委員会
(c)此元和津也(秋田書店)/「セトウツミ」製作委員会
公式サイト:http://www.tv-tokyo.co.jp/setoutsumi/

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