『コード・ブルー』ヒットの理由は“脚本”にあり 組織のドラマ描く安達奈緒子の実力

『コード・ブルー』脚本の魅力を読む

 また、第三話では脳が腫瘍におかされた14歳の天才ピアニスト、アルツハイマー型認知症の原因物質抑制プロジェクトの開発競争に敗れて自殺しようとした研究者。指先が麻痺して包丁が握れなくなるかもしれない料理人といった人々が登場し、命をかけてきた大切な仕事で自己実現ができなくなっても、人は生きねばならないのか? という重たい問題が描かれた。

 仕事と子育てをめぐるシリアスな問題をエンターテイメントの枠組みの中で見せようとする重さと軽さが混在する作風は、月9で安達が書く際の、最大の魅力だろう。それはトレンディドラマ以降の月9が担ってきた普遍的なテーマだと言える。

 藍沢や白石が組織を立て直そうとしているように、安達たち『コード・ブルー』のチームも月9を立て直そうと戦っている。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■放送情報
『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』
フジテレビ系にて毎週月曜21:00~放送
出演:山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、成田凌、新木優子、馬場ふみか、寺島進、杉本哲太、りょう、安藤政信、椎名桔平ほか
脚本:安達奈緒子
音楽:佐藤直紀
主題歌:Mr.Children「HANABI」(TOY’S FACTORY)
プロデューサー:増本淳
協力プロデューサー:中野利幸
演出:西浦正記(FCC)、葉山浩樹、田中亮
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/codeblue/index.html

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる