国内外における『ワンダーウーマン』への温度差が今後の日本洋画界に影を落とすもの

『ワンダーウーマン』国内外の温度差

 『ワンダーウーマン』の世界的なメガヒットは、当然のようにワンダーウーマンもメイン・キャラクターの一人として登場する今年11月公開のDCエクステンデッド・ユニバース作品『ジャスティス・リーグ』に向けての絶好の景気づけにもなったわけだが、日本での『ワンダーウーマン』の現状の成績からは、同じような相乗効果が期待できるかは未知数だ。しかし、もっと不安なのは3ヶ月後の『ジャスティス・リーグ』への日本と海外の温度差ではなく、2019年以降に次々に公開されるであろう女性ヒーロー作品が、日本でどのように受け入れられていくかということ。

 今回の『ワンダーウーマン』の国内での宣伝方法に関しては、作品のメッセージとは真逆の内容の日本版テーマソングなどを筆頭に、映画ファンから様々な批判の声も上がった。単純に「女性ヒーロー作品が当たらない国は社会的に遅れている」とするのはあまりにも乱暴(日本にもアニメ作品では同性の子供たちから長年支持されてきた女性ヒーローのシリーズはある)だが、女性ヒーロー作品、中でも女性監督作品が、アメコミ・ヒーロー作品における今後の大きなトレンドとなることは間違いない以上、日本の配給会社には新たな宣伝の方法や戦略が必要とされているのではないだろうか。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)。Twitter

■公開情報
『ワンダーウーマン』
全国公開中
監督:パティ・ジェンキンス
出演:ガル・ガドット、クリス・パイン
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/wonderwoman/

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