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宇野維正の興行ランキング一刀両断!

動員ランキング初登場2位 『スパイダーマン:ホームカミング』の成績をシビアに分析する

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 前回のコラムで「『怪盗グルーのミニオン大脱走』が驚異の前週比を叩き出して4週連続1位を達成するか、順当に『スパイダーマン:ホームカミング』が初登場1位となるか、今週末の興行動向の焦点もそこに絞られている」としたが、先週末の2強対決の軍配は前者『怪盗グルーのミニオン大脱走』に上がった。土日2日間の動員は32万8000人、興収は4億500万円。公開4週目にして動員は前週比108%。先週末の段階で累計動員は364万人、興収は42億8000万円と、『ミニオンズ』が持つイルミネーション作品最高興収52億円の更新は確実。お盆休みが続く月曜日以降も高推移を維持していることから、最終的には60億円を超えて、70億円の大台を狙えるところまで伸びるのではないかと予想しておこう。

 日本で最も実績のあるアメコミ・ヒーロー、スパイダーマンがマーベル・シネマティック・ユニバースに本格参入するとあって(実はソニーとディズニーとの間での期間限定の契約なのだが)、大きな期待が寄せられていた『スパイダーマン:ホームカミング』は土日2日間で動員29万人、興収4億4800万円という数字。つまり、動員では『怪盗グルーのミニオン大脱走』に及ばなかったものの、大人客の比率、そしてIMAX3D、4DX、MX4Dなどの上映館の数字によって興収では初登場1位と、なんとか面目を保ったかたちとなった。

 先週金曜日の初日からの3日間での成績は動員50万6929人、興収7億7532万5400円と、実は動員でも『スパイダーマン:ホームカミング』は『怪盗グルーのミニオン大脱走』を上回っていて、アメコミ映画のファンの間では「アジア各国も含む海外のように、日本でも土日2日間ではなく金曜日を含めた3日間の週末成績でランキングを発表してほしい」という声も上がっていた。もっとも、その場合、現在のように金曜と土曜にばらけた日本での新作公開日を諸外国のように金曜日に統一しなくてはいけないわけで、興行界全体を動かす大きな力が働かない限り無理な話ではあるが。

 ところで、この「初日を含めた3日間の成績でランキングを」という声は、図らずも現在のアメコミ映画をめぐる状況への的確な批評にもなっている。というのも、日本でも熱心なファンを多く抱えるようになり、数年前に比べたら全体の数字が底上げされてきているアメコミ映画の興行だが、熱心であるがゆえに、初週、中でも初日に観客が集中するという現象がこのところずっと続いているのだ。今年1月に公開されたMCU作品『ドクター・ストレンジ』のオープニング3日間の興収は5億1393万1000円、最終興収は約18億。昨年4月に公開されたMCU作品『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のオープニング3日間の興収は7億4708万3100円、最終興収は約26.3億。昨年3月に公開されたDCEU作品『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のオープニング3日間の興収は5億112万8500円、最終興収は約18.6億。いずれも揃って初動成績の4倍以下の累計成績という初動型の興行に終わっている。

 実は、アメリカでも同様の現象は起こっている。今年7月7日に全米公開されて、『アイアンマン』1作目が持つMCU単独ヒーロー作品の初動最高記録を更新するオープニング成績9860万ドルという絶好のスタートをきった『スパイダーマン:ホームカミング』だったが、その翌週に今度はMCU史上最大の下落率となる62.2%ダウンという不名誉な記録まで作ってしまった。作品への評価は決して悪くない(今やアメコミ映画ではお約束ともいえる公開当初の絶賛ムードはいくらかトーンダウンしていったが)だけに、これは世界共通の近年のアメコミ映画の傾向と言えるのかもしれない(女性ヒーローという新ジャンルに挑戦して、新たな観客層を獲得した『ワンダーウーマン』のような成功例もあるが)。

      

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