『コード・ブルー』夏ドラマ視聴率トップへ 成功の理由は“月9”と“プロデューサー”の底力

恋愛モードとフェローの扱いに不安

 もちろん諸手を挙げて絶賛するだけでなく、不安もある。安達は過去作の大半で恋愛要素を強く入れていただけに、「『コード・ブルー』にもそのムードを持ち込むのではないか」と勘ぐりたくなるのだ。

 実際、第1話のラストに、藍沢が救命に戻ってきた理由を「救命にはお前がいる。お前は面白い」と白石に告げるシーンがあった。意味深なラストシーンを見た視聴者は、すでに恋愛モードの導入に賛否両論の声をあげている。増本プロデューサーがいる限り、医療ドラマとしてのバランスを崩すことはないだろうが、デリケートな要素であることは間違いない。

 もう1つの不安は、「新たなフェローたちの成長をきちんと描き切れるのか?」ということ。前シリーズからのメイン5人、橘啓輔(椎名桔平)と三井環奈(りょう)夫妻、藍沢のライバル・新海広紀(安藤政信)の物語を描く必要があり、これだけで飽和状態に近い。フェローが「単に仕事ができないだけ」のお飾り的な存在になってしまわないか、緻密かつ濃縮された脚本が求められそうだ。

 『コード・ブルー』は、月9放送30周年の底力を存分に生かした作品に仕上がっているだけに、最後まで夏ドラマのトップを走り続けるだろう。それと同時に、「この底力を次の作品でも発揮するためにどうしたらいいのか」を考える秋以降の戦いもすでにはじまっている。

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月間約20本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

■放送情報
『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』
フジテレビ系にて毎週月曜21:00~放送
出演:山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、成田凌、新木優子、馬場ふみか、寺島進、杉本哲太、りょう、安藤政信、椎名桔平ほか
脚本:安達奈緒子
音楽:佐藤直紀
主題歌:Mr.Children「HANABI」(TOY'S FACTORY)
プロデューサー:増本淳
協力プロデューサー:中野利幸
演出:西浦正記(FCC)、葉山浩樹、田中亮
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/codeblue/index.html

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