岡田将生×柳楽優弥×松坂桃李は“人生の岐路”にどう向き合う?  『ゆとりですがなにか』SP後編に寄せて

『ゆとりですがなにか』SP後編に寄せて

 『カルテット』での悪女役が話題になる前に、連続ドラマ版で山路を翻弄する魔性の女の子を演じていた吉岡里帆が前編の一言のみで出番が終わってしまいそうなのが寂しい。それでも、マニュアル人間でバキバキ笑顔のさとり世代女子を演じた清野菜名や、「ずっと誰かに連れ出してほしいと思ってた」と言う予告を見るだけでも映画『オーバーフェンス』の聡や『アズミ・ハルコは行方不明』の春子といった、彼女が演じてきた地方都市の薄幸の美女たちを思い浮かべて期待してしまう蒼井優と、今回も女優陣が魅力的だ。

 ハイテンションに悩んだりケンカしたり、笑い転げたりしながら、彼らはどこに行くのだろう。自分の納得のいく人生を選ぶことができるのだろうか。このドラマでは、ゆとり第一世代の彼らだけでなく、その後に続く山岸のようなゆとりモンスターや、さとり世代、さらに若い世代である就活生たちも描いている。彼らもそれぞれの考え方、姿勢は違えど、いずれは坂間たちと同じく人生の岐路に立たされる。逆を言えば、彼らの上の世代もまた、その道を通ってきたわけだ。視聴者である私自身もまた、いずれ遠くない時期に彼らと同じように悩む時が来るのだろう。その時のために、坂間と茜の葛藤を、山路の人生と恋を巡る暴走を、そして愉快な登場人物たちを、笑いながら見つめてみようと思う。

■藤原奈緒
1992年生まれ。大分県在住の書店員。「映画芸術」などに寄稿。

■放送情報
『ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編』
日本テレビ系にて、7月2日(日)&9日(日)22:30~23:25放送
出演:岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥、安藤サクラ、太賀、島崎遥香、高橋洋、吉岡里帆、清野菜名、手塚とおる、青木さやか、蒼井優、でんでん、中田喜子、吉田鋼太郎
脚本:宮藤官九郎
演出:水田伸生
プロデューサー:枝見洋子、仲野尚之(AX-ON)
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/yutori/special2017/index.html

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