EXILE HIRO×別所哲也が語るショートフィルムの可能性 「これまでにないマーケットを開拓できる」

EXILE HIRO×別所哲也、特別対談

別所「若い才能に機会を与えるのは、未来を創造すること」

ーー『HiGH&LOW』シリーズは、LDHファンのみならず、幅広い層から人気を集めましたね。

HIRO:『HiGH&LOW』のプロジェクトに関しては、映画以外にもドラマ、ライブ、SNSなど、様々な方法でアプローチしている“総合エンタテインメント”で、そういう意味ではこれまでにない映像作品になったとは思います。ただ、僕ら自身は「映画業界に変革を起こそう」みたいな大それたことを考えているわけではなく、別所さんのような方との出会いの延長線上で映画制作に携わらせていただいているという意識です。映画業界の方々から学んで、そこで自分たちなりのアプローチを考え、その都度、丁寧に仕事をさせていただいています。また、僕にとって一番大きなモチベーションになっているのは、EXILE TRIBEメンバーたちの夢です。彼らの中には、「役者としてこんな風に活躍したい」というビジョンを抱いている者も多いので、ゼロから一緒に映画を作ることができる仕組みを構築していきたいと思っています。

常盤司郎監督『終着の場所』

別所:一緒にいる仲間たちの夢を叶えるために、その場所作りをしたいというHIROさんの考えには、とても共感します。僕自身がSSFF & ASIAを続けてきたのも、同じ理由からです。若い才能に機会を与えるのは、未来を創造することで、HIROさんはLDHを通してそれを具現化しています。しかも、音楽業界にとどまらず、映画の世界でもワールドワイドに展開しているのが心強いところです。SSFF & ASIAとしては、LDHと手を取り合うことで、21世紀の新しいシネマのあり方を探っていきたいですね。


ーーHIROさんは、これまで長期的な視点を持ってLDHを育ててきました。映像事業に関して、5年後~10年後のビジョンはありますか?

HIRO:いつも人との出会いと、その時々のアイデアでエンタテインメントを作ってきたので、そのやり方自体は変わらないと思いますが、固定観念にとらわれずに、良い意味で日本中にインパクトを与えるような仕掛けで発信していきたいと考えています。

別所:固定観念にとらわれていないのは、ショートフィルムを制作する上でも重要なポイントです。というのも、ショートフィルムには“ノールールがルール”という言葉があるくらいで、楽しくて、かっこよくて、人の心を動かすというエンタテインメントの基本さえ踏まえていれば、あとは何をやっても良いからです。

HIRO:ショートフィルムそのものにも可能性がありますよね。ショートフィルムというと、その枠の中に収まってしまいがちですが、やり方次第では、若者からお年寄りまで気軽に楽しめる新しいエンタテインメントの形として、これまでにないマーケットを開拓できるかもしれません。デートのときにちょこっと観に行ったり、飲食店などで待ち時間に楽しんだり、そういう風に娯楽のひとつとして浸透していくところまで継続していきたいですね。ショートフィルムは、長編映画に比べて制作にかかる労力や費用も少なくて、だからこそ組み合わせの選択肢も多く、バラエティーに富んだ作品を作ることができます。ショートフィルムの魅力はそこにもあるのかなと、僕自身は考えています。

別所:アーティストであり、クリエイターであり、ビジネスパーソンでもあるHIROさんならではのアイデアですね。HIROさんの仰る通り、ショートフィルムの魅力は、その汎用性の高さにこそあります。僕は“燃費のいい映画”とか“サプリメントムービー”なんて呼び方をしているんですけれど、短いからといって面白さが減るわけではないところがポイントです。物語には、人間それぞれに個性があるのと同じように、その物語固有の体力みたいなものがあって、たとえば8分なら8分の、20分なら20分の体力があります。それを無理にストレッチして長編にする必要はないし、逆にシュリンクする必要もない。ショートフィルムならではの面白さをしっかりと見据えていけば、「CINEMA FIGHTERS」はさらに大きなムーブメントに繋がっていくはず。LDH picturesには、ファンの方々はもちろん、メディアの方々、映画業界の方々、そして僕が知る国際的な映画人たちも、大きな期待を寄せています。僕もSSFF & ASIAの代表として、彼らと一緒に様々なチャレンジをしていきたいです。

(取材・文=編集部)

A.T.監督『キモチラボの解法』
斎藤俊道監督『色のない洋服店』
萩原健太郎監督『Snowman』


■イベント情報
『ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2017』
2017年6月1日(木)~25日(日)
開催場所:東京都 表参道ヒルズ スペース オー、ラフォーレミュージアム原宿、アンダーズ 東京 アンダーズ スタジオ、iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ、Act square
神奈川県 ブリリア ショートショート シアター
料金:無料 ※一部のイベントを除く
公式サイト:http://www.shortshorts.org/2017/

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