小栗旬「今、光が見えたから」が示す希望 『CRISIS』“ダイヤモンド”が意味するもの

小栗旬「今、光が見えたから」が示す希望の光

 一方で、第6話の中で「小石をダイヤモンドに変えるんだよ」と言う鍛冶(長塚京三)のセリフが頭をよぎる。ダイヤモンドは、その硬さと美しさから“固い絆を結ぶ、不屈の精神、揺るぎない美”などという意味があり、またダイヤモンドという言葉は「征服されざるもの、何よりも強い」を意味するギリシャ語が語源になっていると言われている。

 さらに、昔話にもあるように、一見ただ価値のがない小石(物事、日々)に見えていても、それをコツコツと拾い集め(経験を積み重ね)ていくことで、明日(未来)にはダイヤモンド(自分にとって価値がある大切な何か)に変わっていることもあるのだ。これまで6回の事件を目にして来た我々視聴者だが、その全てが完全には解決されておらず、苦々しい結末を迎えている。だが、そんな不完全燃焼のまま解決できていない事件、いわば小石たちを着実に拾い集めていくことで、チームの絆が結束し、権力に屈しない揺るぎない覚悟へと磨き上げられていくのだろう。

 ただの切られる枝で終わらないためには、生きてるうちに頭をフル回転させる必要がある。「頭は帽子のためにあるんじゃない」のだ。そして鍛冶は、公安機動捜査隊特捜班を切る枝ではなく、ダイヤモンドとして磨き上げるために拾い集めたのだろう。「でも、もう大丈夫。今、光が見えたから」という“大切な何か”を見つけた稲見のように、公安機動捜査隊特捜班にも光が見える日は近いのかもしれない。

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(文=戸塚安友奈)

■放送情報
『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』
関西テレビ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
原案・脚本:金城一紀
出演:小栗旬、西島秀俊、田中哲司、野間口徹、新木優子、石田ゆり子、飯田基祐、眞島秀和、野崎萌香、長塚京三
音楽:澤野弘之、KOHTA YAMAMOTO
演出:鈴木浩介、白木啓一郎(カンテレ)
チーフプロデューサー:笠置高弘(カンテレ)
プロデューサー:萩原崇(カンテレ)
制作著作:カンテレ
(c)関西テレビ
公式サイト:www.ktv.jp/crisis/

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