ホウ・シャオシェンが語る、『台北ストーリー』と台湾ニューシネマ秘話 「エドワード・ヤンの作品は時代の先を行き過ぎていた」

ホウ・シャオシェンが語る台湾ニューシネマの時代

エドワード・ヤンの作品は時代の先を行き過ぎていた

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−−あなたにとってエドワード・ヤン監督とは?

ホウ・シャオシェン:ヤンとは出逢った瞬間から意気投合しました。彼とはとにかくウマがあった。でも、一緒に映画を作ったり、話し合う中で、日常生活を見つめている視点がいかに自分と違っているかも理解しました。彼にとって台湾というのは、独裁的な力に支配された、とてもありそうもないような現実だった。『台北ストーリー』は彼のそんな思いと、子ども時代のさまざまな記憶が水面に現れ出てきている作品になっていると感じます。しかし、彼の作品は時代の先を走り過ぎていました。だから当時の観客はそれに付いていけなかった。もっと早く、時代が彼の作品に追いついていたらと今でも思うことがあります。

−−昨年公開されたドキュメンタリー映画『台湾新電影時代』を皮切りに、25年ぶりに劇場公開されたエドワード・ヤン監督『クーリンチェ少年殺人事件』が大熱狂を生むなど、日本の多くの映画ファンが台湾映画に関心を寄せています。

ホウ・シャオシェン:VHSやDVDが生まれて自宅のテレビで過去の映画を観ることが可能になり、配信サイトの興隆、スマートフォンの普及で小さな画面でも映画を観ることができる時代になりました。こうした技術の進歩は喜ばしい反面、映画館で映画を観る機会が少しずつ失われていくのではないかという危機感もあります。過去の作品を様々なフォーマットで観ることができるなか、かつて我々が作り上げた作品が映画館で上映されること、そして多くの観客に届けることができている事実は大変喜ばしいことです。4K修復版として蘇った本作を是非映画館で体感していただければと思います。

(取材・文=石井達也)

■公開情報
『台北ストーリー』
4Kデジタル修復版【監修:ホウ・シャオシェン】
ユーロスペースほか全国順次公開中
監督・共同脚本:エドワード・ヤン
主演・製作・共同脚本:ホウ・シャオシェン
脚本:チュウ・ティエンウェン
音楽:ヨーヨー・マ
出演:ホウ・シャオシェン、ツァイ・チン、ウー・ニェンチェン、クー・イーチェン
提供:竹書房/オリオフィルムズ
配給:オリオフィルムズ
配給協力:トラヴィス
1985年/台湾/119分
(c)3H productions ltd. All Rights Reserved
公式サイト:taipei-story.com

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