創作を禁じられたイランの映画監督がユーモアを描く理由 『人生タクシー』が与える勇気

 そのパナヒ監督のいかなる状況だろうと前を向き、ユーモアを忘れない姿勢にはもう感服するしかない。不自由を自由に変えているようにさえ映る彼の姿は、いま苦境にいる映画人たちに大きな勇気を与えるに違いにない。

 ただ、いくばくかの皮肉を読み取りながらも、ここまでいわばユーモアを全面に出した内容だと、逆に心配になって実は状況があまり好転していないのではないか、と思うのは心配しすぎか。ここは素直に感じるままに、状況が好転していると受け止めるべきか。この作品に関してのインタビューなどは出ていないようなので、そのあたりを知るすべはない。

 もうここは少しでも早く彼が解放されることを祈るのみ。そして近く新たな作品が届くことを願って心待ちにしたい。

(文=水上賢治)

■公開情報
『人生タクシー』
2017年4月15日(土)新宿武蔵野館ほかロードショー
監督・脚本・出演:ジャファル・パナヒ
提供:東宝東和
配給:シンカ
(c)2015 Jafar Panahi Productions
公式サイト:jinsei-taxi.jp

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