早くも話題騒然、視聴率も絶好調  今年最大の問題作『やすらぎの郷』を見逃してはいけない

 つまり、『やすらぎの郷』という作品を通して、我々視聴者はテレビの黄金期を支えてきた世代の「最後の本気」を受け取ることになるのだ。昨年NHKが制作した、満島ひかりが主人公・黒柳徹子を演じてテレビの創成期を描いた土曜ドラマ『トットてれび』は、ドラマ・ファンの間で高く評価された。今回の『やすらぎの郷』は言わば、あの作品と同じようなテーマを現在に舞台を移して、老いた当事者たち(石坂浩二が演じている老脚本家は言うまでもなく倉本聰本人だ)本人が演じるという、とてつもなくトリッキーな企画だ。すべてのドラマ・ファン必見、いや、すべてのテレビ好き必見の、今年最大級の問題作と言うしかない。

 今週の放送分を見逃してしまった人もご心配なく。4月8日土曜日の朝9時55分から11時45分には、第1週の総集編の放送がある(テレビ朝日の力の入れようがよくわかりますね)。放送時間の長さ的にこれまでの5話分はここでほぼノーカットで放送されるはず。『やすらぎの郷』とともに生きるこれからの半年間、倉本聰は我々を想像もしていなかった場所へと連れて行ってしまうだろう。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)。Twitter

■放送情報
『やすらぎの郷』
テレビ朝日にて、毎週月〜金曜日 12:30〜12:50放送
出演:石坂浩二、浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、草刈民代、五月みどり、常盤貴子、名高達男、野際陽子、藤竜也、風吹ジュン、松岡茉優、ミッキー・カーチス、八千草薫、山本圭
作:倉本聰
公式サイト:http://www.tv-asahi.co.jp/yasuraginosato/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる