『大怪獣モノ』は『シン・ゴジラ』ブームにどう“便乗”した? 河崎実監督が語る、特撮の面白さ

『大怪獣モノ』河崎実監督インタビュー

面白いものを撮り続けてきただけ

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――それでも河崎監督が特撮にこだわる理由は?

河崎:やはり、今の特撮や映画に物足りなさを感じてしまうからです。製作委員会方式になって、損をしない映画作りが可能になったかもしれないけど、その分、映画だからこそできる“無茶”ができなくなってしまった。CGで本物と見紛う世界を映し出すのもいいですが、ミニュチュア撮影でしか作れない質感、作り物の面白さを大事にしたいとは思っています。テレビでは表現できないことを映画がやる、そして他の監督が作らないものを作る、それをポリシーにしていたら監督デビューから30年の時が経っていました。

――30年前に今のご自分を想像できましたか。 

河崎:『地球防衛少女イコちゃん』(87)を撮っている頃に、今の俺がタイムスリップして出てきて、「おまえは30年後に『地球防衛未亡人』(14)を撮るだろう」って、言ってきたら、「何言ってんだ、このオヤジは」って、思うだろうね(笑)。今は少女を撮っているのに、何で次が未亡人なんだと。好きなもの、面白いものを撮り続けてきただけだから、根本的な部分は変わっていないんですけど。先日、町山智浩が、「『ウルトラマン』から50年、『ロッキー』から40年、『地球防衛少女イコちゃん』から30年、『大日本人』から10年……。過ぎ去る時を嘆くな! 河崎実は、今もぼくらの河崎実だ」とツイートしていました。つまり、時代は変化してもずっと馬鹿やってるということですよね(笑)。変わるつもりもありませんでしたけど、こうやって変わらないものを求めてくれるのは本当にありがたいこと。真面目な映画を作って、映画賞を貰いたくないと言ったら嘘になるんだけど(笑)。

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――今回のソフト化で映画館とはまた違う楽しみ方ができそうです。

河崎:巨大化する薬が“セタップ細胞”というネタにはじまり、いろんなパロディネタを散りばめているので、それを探す楽しさも含めて、この作品はDVD、Blu-ray向けの作品だと思います。お酒を飲みながらワーワー言い合ってほしいですね。ソフト発売日も『シン・ゴジラ』と同じ日で、間違えて買ってほしい(笑)。3月24日に『キングコング:髑髏島の髑髏島の巨神』が公開されて、更に、ゴジラVSコングもあるらしいので、『大怪獣モノ』の続編として、どんな作品をぶつけようか今から考えているんです。今度はハリウッドに便乗していきますよ!

(取材・磯田勉、構成・石井達也)

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■商品情報
『大怪獣モノ』
3月22日(水) レンタルDVD同時リリース
監督・脚本・特撮監督:河崎実
脚本:中野貴雄
出演:飯伏幸太、斉藤秀翼、河西美希、赤井沙希、鈴木みのる、堀田眞三、きくち英一、古谷敏、 真夏竜 毒蝮三太夫
【Blu-ray】¥4,800+税(KIXF-444)
【DVD】¥3,800+税(KIBF-1455)
映像特典(BD・DVD共通):劇場予告編、特報、メイキング、舞台挨拶映像(完成披露試写会、 初日舞台挨拶12)、スペイン・サンセバスチャン映画祭映像 ※70分
2016年/日本/93分
発売・販売元:キングレコード
(C)2016『大怪獣モノ』製作委員会
公式HP:http://mono-movie.com/

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