『キングコング 髑髏島の巨神』“邦題”の狙いは? 効果的なネーミングについて考察

『キングコング 髑髏島の巨神』極爆上映へ

 あれこれ考え、いくつもの名前を検討しました。満たすべき条件に挙げたのは4つ。

○作品内容を問わない汎用性があること
○機材や手法を規定しないこと
○説明なく概要が理解されること
○誰かが使った言葉ではなく、新しい言葉であること

 ようやくたどり着いたのが【極上音響上映】という名前。こう名付けてから、シネマシティは大きく飛躍することになります。『THIS IS IT』だけでなく、『映画けいおん!』『レ・ミゼラブル』等で大都市にある商圏人口が何倍も違うような映画館とも渡り合えるほどの成功をおさめることができました。さらにその後、発展系として“極上爆音上映”が生まれ、より多くの映画ファンにこの言葉を知っていただけました。

 『千と千尋の神隠し』で名前を司ることは、その者のすべてを支配することであることが示されますが、これは魔術的な話でもなんでもなく、名付けはイベントでも、企画でも、商品でも、驚くほど重要な役割を果たします。「値決めは経営。経営の死命を制するのは値決め」とは“経営の神様”稲盛和夫さんの言葉ですが、「名決めは企画」と僕は言いたい。

 やろうとしていることと届けたい相手を、きっちり絵に描けるほど明確にすれば、言葉の大洋の中からこれぞというひとつを探し出せるはず。その大洋の沖で、日々もがきつづけている僕が直近で生み出した、ライブスタイル(拍手・歓声OK)上映企画の名前はこれ。

「<無差別級118分1本勝負>虫けら人類 対 キングコング 対 巨大生物 3.25髑髏島(シネマシティ)決戦!」
(告知ページ:https://ccnews.cinemacity.co.jp/kingkong_goku-baku/

 うむ、ひどい。この道はまだまだ険しいぞ。

 You ain't heard nothin' yet !(お楽しみはこれからだ)

(文=遠山武志)

■立川シネマシティ
映画館らしくない遊び心のある空間を目指し、最高のクリエイターが集結し完成させた映画館。音響・音質にこだわっており、「極上音響上映」「極上爆音上映」は多くの映画ファンの支持を得ている。

■公開情報
『キングコング:髑髏島の巨神』
3月25日(土)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか3D/2D/IMAX公開
出演:トム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン、MIYAVI、ジョン・C・ライリーほか
監督:ジョーダン・ボート=ロバーツ
日本語版吹替キャスト:GACKT(ジェームズ・コンラッド役)、佐々木希(メイソン・ウィーバー役)、真壁刀義[新日本プロレス](レルス役)
(c)2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:www.kingkong-dokuro.jp

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