シリーズ興収新記録を狙える出足で初登場1位! 『ドラえもん』の新機軸を探る

『ドラえもん』の新機軸を探る

20170309-doraemon-poster.jpg
『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』ティザービジュアル

 『のび太の南極カチコチ大冒険』の公開前に話題になったのは、これまでの『ドラえもん』のイメージを覆すスタイリッシュで象徴主義的なビジュアルイメージのポスターだ。そのデザインには新進のイラストレーター/ゲーム作家のヒョーゴノスケが関わっていて、昨年夏には「初めてのアニメ、初めての映画の仕事がまさかドラえもんになるとは…!夢のようです」とその喜びと驚きをツイートしていた(ヒョーゴノスケ氏が手がけているのはポスターや作品の元となるイメージボードであり、印象的なコピーも含めたポスター全体は複数のクリエイターによる共同作業であることを本人が追記している)。

 2006年から始まったリメイク路線の背景には、現在放送中のテレビアニメ『ドラえもん』の視聴者の中心層である小学生と、新作映画の元となったオリジナル作品を見てきたその親世代、「そのどちらの世代も楽しめる作品を」という健全なマーケティング的発想があったはず。しかし、それと並行して優れたオリジナル作品の製作も重ねてきたことで、今や『ドラえもん』映画は子供でも親世代でもない、その間の10代、20代の観客にとってもフレッシュな存在となりつつある。「コンテンツを育てる」というのは、こういうことなのだろう。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)。Twitter

■公開情報
『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』
全国東宝系にて公開中
声の出演:水田わさび(ドラえもん)、大原めぐみ(のび太)、かかずゆみ(しずか)、木村昴(ジャイアン)、関智一(スネ夫)、千秋(ドラミ)
原作:藤子・F・不二雄
監督・脚本:高橋敦史
(c)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2017
公式サイト:http://doraeiga.com/2017/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「興行成績一刀両断」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる