水野美紀、病みつきになる狂気の演技! 『奪い愛、冬』は“スゴイ”ドラマだった

 ドラマには、いろんな形がある。料理で例えるなら、今こそ旬!という鮮度のいいテーマをフレッシュに描く刺し身のようなドラマもあれば、匠の技が光る会席料理のようなドラマもある。一方で、なんとなく流行っている素材で作られたドラマもある。「マズくはないけれど、どうしても食べたいというものではない」そんな飽食の時代を迎えているのかもしれない。

 そのなかで「万人受けしなくても、これを美味しいと言ってくれるコアなファンが来てくれたら……」と、作り手が“勝負しているな”と感じる作品こそ目を引いているように思う。そして、水野の生き様も、そしてこのドラマでの役作りも、まさに真剣勝負を感じる。予定調和で終わらない、誰かの人生に突き刺さるようなインパクトを残したい、そんな仕事ぶりなのだ。

 “愛を求めるがゆえに壊れていく女”というのは、何年、何十年と演じられてきたキャラクター。もはや素材そのものは鮮度も目新しさもない。そこを水野が振り切って演じることで、ひとつの娯楽作品としてグッと濃厚になった。クセの強さはものすごいが、一度味わったら「お、いいかも。もう1回」「あれ、ちょっと気になる。もう1回」とやみつきになる、そんなドラマにしたのは、水野がいたからこそ。

 最後に、もう一度味わいたい人も、まだ未体験な人も、『テレ朝キャッチアップ』で最終話の無料配信(※3月10日まで)で、駆け込み視聴することができる。ああ、あの濃厚な水野美紀が、毎週見られないのかと思うと、すでに恋しい。ガンガンガンッ!と、杖を打ち付けたい気分だ。

(文=佐藤結衣)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる