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宇野維正の興行ランキング一刀両断!

ティム・バートン作品はジョニー・デップ不在でもヒットする? ポスターに表れる監督のブランド力

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 先週末の動員ランキングは『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』が土日2日間で15万8000人を動員して1位。一方、興収では2億5200万円を上げた『ドクター・ストレンジ』が僅差で『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』を上回って、先週に続いて2週連続の1位となった。3位の『キセキ-あの日のソビト-』も上位をキープ。急遽前週からスクリーン数も増えていて、東映のシリーズもの以外の実写作品としては久々のヒット作となっている。

 上位3作、三つ巴の争いとなった先週末のランキングだが、今回注目したいのは1位の『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』。ここ数作は興行、批評ともにあまり奮わなかったティム・バートン監督だが、今回の『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』では興行面だけでなく、作品の評価においても汚名返上を果たしたかたちだ。原作人気に負うところも多かったアメリカ(『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』の原作はアメリカ国内だけで300万部突破)だけでなく、『ハリー・ポッター』シリーズなどとは違ってまだ原作人気にまったく火がついていない日本でも作品がヒットしたのは、ティム・バートン監督のブランド力が大きく寄与しているとみていいだろう。

20161018−peregrines-p-th.jpg『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』ポスター

 その映画監督が配給会社から「客の呼べる監督」と思われているかどうかは、作品のポスターにおける監督名の文字の大きさ、そして宣伝コピーに顕著に表れる。『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』の日本版ポスターを見ると、作品タイトルの上に大きく「ティム・バートン フィルム」。そして、その何倍も大きな級数で「ティム・バートン史上、最も奇妙。」と宣伝コピーが打たれ、さらに念入りなことに別のところにも「『シザーハンズ』『チャーリーとチョコレート工場』『アリス・イン・ワンダーランド』監督作品」と大きく文字が打たれている。これが日本の少女マンガ原作の実写映画だったりすると、虫眼鏡でも持ってこないと監督の名前が確認できなかったりすることが多いが、それは誰も監督の名前で観る作品を決めることはないと配給会社から思われているからだ。

 「監督が誰であるか」ということは、映画ファンにとってとても重要である。いや、重要であるどころか、その作品を観るか観ないかの最大のファクターになると言ってもいいだろう(たまに言葉として混同している人がいるが、「作家主義」という言葉はそれとはちょっと異なる概念の批評用語である)。しかし、世間の一般層は、いわゆる映画ファンが想像している以上に「監督が誰であるか」ということにほとんど無頓着である。しかし、それでもなお、ティム・バートンのように監督の名前で客が呼べる監督が「日本の洋画界」にも存在している。スティーヴン・スピルバーグやロバート・ゼメキスがその名前の吸引力を失った今、(アート系作品や数十館での公開規模作品ではなく)全国拡大公開作品で同じように観客を呼べる海外の監督はクリント・イーストウッドくらいになってしまった、というのは以前に指摘した通りだ。(参考:イーストウッドは「洋画」最後のブランド? 『ハドソン川の奇跡』のヒットを考える

      

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