『ラブホの上野さん』の恋愛テクは真似ると危険!? “ダブルバインド”の有用性を考える

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 「如何にして女性をラブホテルに誘導するか」という、実にシンプルな命題のもとに、段階的に相手の反応を確認していく。手を繋ぎ、その手を強く握って合図を送る。そして最後の決め手となるのが“ダブルバインド”を使った誘導方法だ。「行く」か「行かないか」というYes/Noクエスチョンではなく、あらかじめ“行く”ことを前提とした、二択の質問を投げかけることで、どちらを答えても“Yes”になるが、その二つしか選択肢が無いように心理的に拘束(バインド)するという、実に荒っぽい方法である。

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 もっとも、この“ダブルバインド”自体は、自分の望む方向に人を誘導するための方法として、最も簡単で成功率の高いやりかたである。とはいえ、劇中では「あっちの汚いホテルと綺麗なホテルどっちがいい?」という、とても極端な例のため、実践するのであればもっと選択肢を考えてみるほうがいいだろう。というのも、前述した通りこのドラマが“男性必見”である理由は、劇中で登場した方法論をそのまま実践しないほうがいいという、実に当たり前のことなのである。

 第1話のラストで、上野さんから教えてもらったダブルバインドを一条が実践すると、それを教わっていた先輩からも同じ問いをされた相手女性が、「それってマニュアル?」と怪訝な表情を浮かべて失敗するという流れが登場する。このように、登場するテクニックがあまりにもシンプルなだけに、このドラマを見ていなくとも、「これは『ラブホの上野さん』でやったやつだ」と思われてしまいかねない。それどころか、みんなが同じ誘い方をしていたら、あまりにも格好が悪いではないか。

 ある意味で反面教師として、このドラマで登場したテクニックを徹底的に排除した別の方法を考えて、取り入れていくのがいいだろう。もちろん、大きく取り上げられるテクニック以外にも、ちょっとした会話のきっかけを見つけることや、相手に好印象を持たせるための優れた技が登場する。参考にするならば、こういった細かい点だろうか。もっとも、劇中の一条のように、それほど単純な男がどのくらいいるのかはわからないけれども。

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■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■番組情報
『ラブホの上野さん』
毎週水曜日深夜26時25分~
製作著作:フジテレビ
(C)博士・上野/KADOKAWA・フジテレビジョン
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/uenosan/

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