Hey! Say! JUMP中島裕翔、アイドルと真逆のイメージで高評価 役柄に染まる演技の魅力

 確かに、ここ最近、中島が演じたキャラクターは大きな抑揚を持たない人物が多かったかもしれない。しかし、淡々と演じるなかで、その行動や言動には感情移入できることが多い。本作は、ほぼ順撮りで行われたというが、新木優子演じる小春との距離が縮まっていくシーンにおいて、溜めに溜めたところからこぼれ出るような感情表現に胸を打たれる。

 人気アイドルとしてキラキラに輝く色を持っている一方で、これまでの作品を観ていると、俳優としては、いい意味で特徴的な色を持っていないように感じられる。行定監督は「余計なことをして台無しにしてしまう俳優がいるなか、彼にはそういう部分がない」と中島について語ると、本作のメガホンをとった市井昌秀監督も、「中島くんのままでいい」(『僕らのごはんは明日で待ってる』プレスシート参照)と演出したという。

 アイドルとしての光り輝く存在感を引きずることなく、ナチュラルに役柄に染まれる――。そんな特徴を持つ中島の俳優としての前途は洋々なのかもしれない。

■磯部正和
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

■公開情報
『僕らのごはんは明日で待ってる』
2017年1月7日(土)TOHOシネマズ 新宿ほか全国ロードショー
監督・脚本:市井昌秀
出演:中島裕翔、新木優子、美山加恋、岡山天音
原作:瀬尾まいこ「僕らのごはんは明日で待ってる」(幻冬舎文庫)  
配給:アスミック・エース  
(C)2017『僕らのごはんは明日で待ってる』製作委員会

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