ジブリ宮崎駿監督、復帰への期待 CGアニメへの挑戦は何を意味する?

 しかし、宮崎監督がいま、CG表現に挑むことは意味のあることだと小野寺氏は続ける。

「長編アニメが作られると仮定して、それがCGになるのか、手描きになるのかは、制作中の『毛虫のボロ』の出来次第でしょう。CGクリエイターに何度もダメ出しをする様子からも、宮崎監督が求めるハードルの高さが伝わってきます。現時点では、監督の理想とCG技術がかみ合っていないようですが、それが一致するのも時間の問題かもしれません。実際、初めてのCGアニメ制作であるにもかかわらず、的確にCGならではの良い点、悪い点を指摘していました。手描き一筋で来た宮崎監督が、いちからCGと格闘し、理想の表現を求めて若いスタッフとぶつかる様子は、すごく面白いです。高畑勲監督の『かぐや姫の物語』や、ジブリ初の外国人監督を起用した新作『レッドタートル』も、CGを使って革新的な表現に到達しました。生命感や感情を乗せていく表現は、CGの苦手なところです。宮崎監督が、そこを独自のやり方で突破することで、誰も見たことのないものすごいアニメーションを作ってしまう可能性は十分あると思います」

 ドキュメンタリー内では、2019年に向けて長編アニメーションの構想が語られている。もし実現するのであれば、革新的なアニメーションが生まれる可能性もありそうだ。

※宮崎駿の“崎”は旧字体
(取材・文=泉夏音)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる