新垣結衣は『逃げ恥』で“第3のスタートライン”に立った 喜劇女優としてのガッキー

新垣結衣、マドンナからコメディエンヌへの成長

 もしかしたら、この流れが繰り返されていくことで、よりラブコメ女優、いや、喜劇女優としての新垣結衣が研ぎ澄まされていくのではないか、と予感できる。ここ最近も、映画『くちびるに歌を』で演じた影を持ったピアニストだったり、『S-最後の警官-』での正義感に溢れる狙撃手など、これまで挑んだことのないキャラクターに挑んできた。さらに、一昨年公開された主演映画『トワイライト ささらさや』では初の母親役に挑むなど、女優としての役柄の幅を着実に拡げてきたのだ。

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 そして今回の『逃げ恥』での、森山みくりというキャラクターだ。明朗で人当たりも良く、真面目で素直で賢くて、ちょっぴり妄想癖のあるこのキャラクターは、これまで彼女が培ってきたイメージに最も相応しいものである。昨年の『掟上今日子の備忘録』では西尾維新ワールドのポップさの中に放たれたわけだが、今回のドラマが持つポップさは、星野源と新垣結衣の主演二人が作り出している。この二人のコンビネーションも絶妙なのだ。

 同世代のマドンナ的存在だったあの頃から、そのイメージを変えることなく、何も変わらない、いやそれ以上のオーラを放つ“ガッキー”の姿がそこにある。それと同時に、喜劇女優としての技量をも確実なものにしようとしている本作は、彼女のキャリアの第3のスタートラインになることだろう。今の彼女なら、いつまでも理想の“ガッキー”であり続けることができるのかもしれない。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■番組情報
『逃げるは恥だが役に立つ』
毎週火曜日よる10時〜
製作著作:TBS
原作:海野つなみ「逃げるは恥だが役に立つ」(講談社“Kiss”にて連載中)
脚本:野木亜紀子
プロデューサー:那須田淳、峠田浩、宮﨑真佐子
演出:金子文紀、土井裕泰、石井康晴

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