山田涼介『カインとアベル』視聴率苦戦中だが見応えアリ? 硬派な作風は配信で高評価の可能性も

 今回の『カインとアベル』も、第一話を観たかぎりでは、決してドラマとしてクオリティの低いものではなかった。今年1〜3月に放送された『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』は、視聴率こそ低かったものの、内容は高く評価され第3回コンフィデンスアワード・ドラマ賞作品賞・脚本賞などを受賞している。『カインとアベル』もまた、視聴率が振るわずとも、ドラマとして高評価を得る可能性はあるだろう。

 先日、総務省はテレビ番組をインターネットで同時に配信する「ネット同時配信」を、2019年にも全面解禁する方針を固めた。フジテレビに限らず、ドラマ全般の視聴率低下は若年層のテレビ離れに依るところが大きく、ネットでの見逃し配信などは好調であるとも伝えられている。『カインとアベル』が硬派な作風となったのは、視聴環境の変化を見越して、目先の話題作りにとらわれない質の高い作品を目指したためかもしれない。視聴者が好きな時間に楽しめるネット配信では、末長く鑑賞できる作品の方が結果的に有利だ。

 連続ドラマの鉄則として、第一話の視聴率が低かった作品がその後に回復することは稀だ。今夜放送の第二話も苦戦が予想されるが、視聴率よりもドラマとしての完成度に期待したいところだ。

(文=松下博夫)

■番組情報
『カインとアベル』
10月17日(月)よる9時〜
(初回拡大、10時9分まで)
出演:山田涼介、桐谷健太、倉科カナほか
脚本:阿相クミコ
脚本協力:金沢達也
原案:旧約聖書 創世記 カインとアベルより
制作著作:フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/CainandAbel/

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