初登場2位、就活学生の自意識を暴いた秀作『何者』の観客はナニモノ?

『何者』の観客はナニモノ?

 もっとも、『何者』の「就職活動中の男女」という題材は、『桐島、部活やめるってよ』で描かれた「高校生の日常生活」のように普遍的なものではなく、中高生の観客にとっては「あまり向き合いたくない未来」であり、若い社会人の観客にとっては「あまり振り返りたくない過去」であったのかもしれない。男女比が均等に近く、しかもかなり限定された年齢層の観客が劇場に足を運んでいる『何者』は、この規模のヒット作としては、かなりユニークな支持のされ方をしている作品である。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)。Twitter

■公開情報
『何者』
全国公開中
原作:朝井リョウ(『何者』新潮文庫刊)
監督・脚本:三浦大輔
音楽:中田ヤスタカ 主題歌:「NANIMONO(feat.米津玄師)」中田ヤスタカ(ワーナーミュージック・ジャパン)
企画・プロデュース:川村元気
出演:佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之
(c)2016映画「何者」製作委員会 
(c)2012 朝井リョウ/新潮社
公式サイト:http://nanimono-movie.com/

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